アレンの思い
文字数 2,009文字
アレンはベッドに転がり、大きなため息をついた。
今日の早朝、アレンはカレンに告白した。カレンの年齢が15歳であることもこの時初めて知ったし、まだ社交界デビューしていないことも知った。
未成年に恋愛感情を抱いたアレンは、自分自身に嫌気がさしていた。
自己否定をしていたとき、扉を叩く音が聞こえてくる。アレンは、ベッドから起き上がり、扉を開けた。
すると、血相を変えたルナがいきなりアレンに飛びかかり、首根っこを掴んできたのだ。最近のレディーは、こんなにも男勝りなのか……、とアレンは心の中で思う。
今は、カレンの事で頭が一杯なのにルナに首根っこを掴まれ、紐ネクタイが首に絞まっている。これは、ギブアップだ。
ようやくルナから解放されたアレンは、ようやく空気を吸うことが出来る。
ルナは、まだ不機嫌そうなままアレンを見つめている。
ルナは、試すような目でアレンを見つめる。ルビー色の視線が刺さり、激しく痛む。アレンは、ルナの視線から目を反らした。
アレンは、間抜けな表情でルナを見つめた。こんな表情を聖母マリア様と主イエス様に見られたら恥ずかしいはずなのに……。
アレンはコートを羽織り、中庭に向かった。
残されたルナは、戻ってきたフェリックスと合流し、廊下で話し合う。
フェリックスは、ルナを自分の部屋に招き入れたのであった。そろそろ雪の季節がやってくる。
アレンが外に出ると雪が舞い始めていた。吐く息も白い。手も悴んで痛む。それでも、フルートの音色が止むことがなかった。途切れることもなく、「主よ、人の望みの喜びよ」が鳴り響く。讃美歌の中でも有名な楽曲だ。
風で雪が舞い上がり、白い花のように吹き荒れる。その向こう側にカレンの姿が入る。カレンの演奏は、吹雪になっても止まない。アレンは、カレンに声をかけたのである。これ以上は無理をしてほしくない。
カレンは、大きなくしゃみをする。それを見たアレンは、自分の着てきたコートを脱ぎ、カレンにかけてあげた。
これは何かのフラグだ、とアレンは思った。マリア様・イエス様ありがとうございます、とアレンは心の中で思うのであった。