告白
文字数 2,186文字
翌日の早朝、アレンとカレンは教会の中庭にある薔薇の咲き誇るテラスに来ていた。 アレンは決意していた。
今日こそアレンはカレンに告白する……と。
今日は、快晴で鳥の囀ずりも聞こえてき、長閑な朝を迎えていた。そんな事を気にしていないカレンは、呑気にテラスの椅子に座り、鳥の囀ずりに耳を傾けていた。
アレンは、勇気を振り絞り大きな声で愛を叫んだのであった。
アレンは、恥ずかしさのあまり死にたくなった。ここでフラれたら大爆死だ。ネタにされてしまう。アレンは怖くて下を向いた。フラれて大爆死する運命が見えているから。
一方のカレンは、アレンの告白に驚きを隠せず、開いた口が閉じない状態になってしまい、情けない表情になっていた。カレンは、アレンを見る。潤んだ琥珀色の瞳で見つめてくるアレンにカレンは、庇護したい、と感じてしまった。
しかし、いきなり付き合ってほしいと言われたカレンは、初めて告白されたこともあり、返事の返しが分からなくなっていた。本当は、アレンの事が気になるけど……結婚するまでは自分の貞操を守らないといけない……というキリスト教のルールに則ってなかなか返事を返すことが出来なかった。
アレンさんの気持ちは嬉しいですわ。しかし、キリストの教えは、恋愛する場合は、結婚前提のお付き合いが条件なんですよ。アレンさんと私にはまだ早いと思うんです。アレンさんは19才ですし、私はまだ15才です。だから、後1年は我慢していただかないとなりませんわ。恋は辛いもの、とはこういう事なんですよ。アレンさん、まだまだキリスト教についての理解が足りなさすぎます
それでも私はまだ16歳の社交界デビューの年齢になっていません。まだ15歳の子供なんです。だから、待ってください……お願いします……。私も心の整理をしたいのです。私は、サラさんとギルバードさんみたいにはいきませんから。恋には、障害が付き物なんです。だから、今回はごめんなさい!!いずれ、返事は返すから!!
カレンは一目散にテラスから駆け出した。アレンの方を見ることなく、自分の部屋に駆け込む。そして、ルナが心配そうに駆け寄ってくるのが目に写る。
驚きを隠せないルナと恥ずかしさで顔を真っ赤にさせているカレン。ルナは、アレンの事が大嫌いだ。そんなルナは、アレンに対して殺意を抱いていた。
ルナはこの後、アレンに告白する話をしばらく聞かされるのであった。
一方のアレンは、
サラとギルバードの前で完全にどんよりとした空気を漂わせながら、アレンは絶望に陥っていた。完全に悲劇のお姫様若しくは王子様を演じきっている。
アレンは、二人の前で目の前のサラダのレタスにフォークを突き刺し、グリグリしながら病んでいる。これは、しばらく話しかけない方がよさそうだ。アレンは、その後も食欲が進まないまま練習に入り、練習も身に入らず、何をしていたのかさえ記憶が曖昧だった。
その日のアレンは、燃え尽きた戦士のような佇まいだったと周囲の人たちはいう。後に伝説にさえなってしまったのであった。