フェリックスの我慢
文字数 2,067文字
フェリックスは、今ルナにソファーに押さえ込まれている。これは、床ドンってやつだ、とフェリックスはとにかく自分の欲望に耐えるのがやっとだった。
大好きな女の子に押し倒されて床に縫い付けられるなんて男として何たる不覚……、と思った。
しかし、次々とフェリックスの頬にルナの瞳から落ちてくる涙が濡らしていく。
フェリックスも限界であった。この体勢の屈辱的な感じもあったのかもしれない。
ルナは、フェリックスの胸に顔を押し当てて泣いている。この体勢も色々とフェリックスの理性さえもぶっ飛ばしそうであった。
しかし、今はルナに謝らないといけない。今までのフェリックス自身の態度にも問題があったのでは?、と不安を覚えていた。
しかし、好きな人の名前を呼べることには、フェリックスは喜びを感じた。今まで、ずっとフェリックス自身も胸を貼って「天才音楽家の再来」ということを誇りに思っていた。しかし、もうそんな事はどうでも良い。ルナが好きで仕方がない。
フェリックスは、未だにルナに押し倒されたままの状態になっているが、ルナも泣き止み、落ち着きを取り戻している。
今は、音楽の話はおいておこう。ルナは、フェリックスに「自分だけを考えてよ」と言われ、自然とフェリックスの顔を見つめる。
みるみるうちに真っ赤に染まっていくルナを見て、フェリックスはくつくつと笑っている。
フェリックスの理性は、ここでおさらばしてしまったのであった。