フェリックスの思い
文字数 2,032文字
フェリックスは、これでも天才と言われている。そんな彼は、貴族の生まれのルナに恋をしている。叶わない恋である事ぐらい分かっている。しかし、フェリックスは止める事が出来なかったのである。
そして、初雪の降りしきる今日、フェリックスはルナを部屋に招き入れ、部屋に泊める事にしたのだ。何という禁忌なんだろうか……。天才音楽家の再来と言われているフェリックスであるが、恋には疎い方である。
しかし、今日に限って何となく自分に余裕がなかったのだ。
しかし、眠れない。妄想と下心が溢れてきて眠れない。フェリックス自身は、これが自分の本心なのか?、と思った。
フェリックスは、ルナの事を愛している。しかし、フェリックスは侯爵家の養子だ。身分差がある。禁断の恋とは、このような事を言うのか……。フェリックスは、大きなため息をついた。
フェリックスは、耳に耳栓をさして、音を遮断した。これで眠れる、と思ったフェリックスであったが、現実は甘かった。ルナがフェリックスが寝ているベッドの方向に寝返りをうってきたのだ。神様……何て罪な人なんだ……、とフェリックスは思った。
もうすぐ夜が開ける。それがフェリックスにとっても喜びであった。しかし、ここでフェリックスは、眠気に襲われそのまま眠りについたのであった。
窓辺に大好きな人が立っている。フェリックスは、必ず大好きな人の笑顔を守ってみせる、とこの時初めて誓ったのであった。