旅路の始まり
文字数 2,069文字
駅に着くとさっそくアレンがカレンの分の特急列車の切符を買いに切符売り場に並んだ。メルン行きの切符を買い終わり、カレンと今日から2日間列車に乗り、メルンの町に行く。メルンは、この国メルトニアの首都・クラリアンから四十時間離れた山間にある小さな町でもある。
列車を待っている二人の間に、長い沈黙が流れてしまう。これは、気まずいと思い、アレンは口を開いた。
今日から2日間乗る予定の列車が駅舎に入ってきた。大きなバッグを持った人々たちに続き、アレンとカレンも列車に乗り込み、1つの個室に入った。今日から泊まる部屋で備え付けの2つのベッドに高級羽毛を使ったふかふかの布団。カレンは部屋に入ってすぐにベッドに腰をかけた。
恋には貪欲であれ、とロバート・ルターが言っていたのを2人は思い出したが、そこまで貪欲にいかなくてもいいと思ってしまった。
列車内には暖炉があるが、内陸部に入ってからは、寒くて仕方がない。
アレンとカレンは、2人でベッドに腰をかけ、肩から布団を羽織っていた。無言がしばらく続いていたが、その無言をカレンとアレンが同時に破ろうとした。
2人の思いは、メルンに向かう列車の中で深まり、何があってもこの仲が壊されることはないだろう。