第24話 個人レッスン(出エジプト記エジプト脱出編)
文字数 1,950文字
「ヨセフによってイスラエル人がエジプトで住むことになったので次は『出エジプト記』ね」
「もう『創世記』は終わったんだ」
「『創世記』から『出エジプト記』までのあいだに長い年月が流れたの。
そのあいだにイスラエル人はエジプトの奴隷として暮らしていたの。
イスラエル人の数が増えてくるとエジプトのファラオは宗教の違うイスラエル人を脅威と考えるようになって、人工を増やさないようにイスラエル人の新しく生まれた男の子を殺すように命令をだしたの」
「酷い話だね」
「そうしたなかでモーセは生まれたの」
「モーセって映画『十戒』の主人公モーゼのこと? モーゼと濁らすにモーセというんだね」
「キリスト教ではモーセと言っているわ。
モーセは本来殺されるところを隠して育てていたけど、隠しきれずにパピルスの籠にいれてナイル川に流したの」
「日本神話の蛭子のようだね。
イザナギとイザナミのあいだの初めての子供が不具の子だったので葦の舟で流した話」
「モーセはエジプトのファラオの娘に拾われてそのままエジプト人として育てられることになったの」
「奴隷からすごい出世だね」
「ある日、モーセが重労働をさせられているイスラエル人がムチで打たれているのを見て、ムチを振るっているエジプト人を殺してしまうの。
そのことがファラオにバレて、モーセは逃げることになったの」
「あっ、一気に転落だ……」
「モーセはミデヤンという土地に行き、そこでお嫁さんを貰うことになるの。
しばらくは羊飼いとして生活をしていたら、ある日、燃える柴から神様の声を聞いたの。
神様はモーセにイスラエル人を率いてエジプトを出なさいと言うの。
神様はモーセに奇跡を起こす杖を渡して、これを使ってファラオを説得しなさいと命ずるの。
でもモーセは口下手だったから、人前で話す役目はモーセの兄アロンに任せることにしたの。
ファラオと面会したモーセはヘビに変わる杖を見せてイスラエル人の解放を要求したけど認められず。
その後の面会でも解放は認められず。
そのたび毎にエジプトに災いが起きることになるの。
その災いというのが――
ナイル川を血に変える。
カエルを大量発生させる。
ぶよを大量発生させる。
あぶを大量発生させる。
家畜に疫病を流行らせる。
腫物を流行らせる。
雹を降らせる。
イナゴを大量発生させる。
エジプト中を暗闇で覆う。
長子を皆殺しにする。
の十の災いなの。
最後の長子を皆殺しにするというのが過越 と呼ばれるの。
入り口に羊の血を塗っておけば長子殺しを過ぎ越せるというもの。
その後、イスラエルでは過越の祭というのを毎年行うことになるの」
「エジプトも散々だね。早く解放してあげればよかったのに」
「イスラエル人は神様に愛される民族だから、ファラオも手元に置いておきたかったのかもね。
でも、さすがにエジプトも観念してイスラエル人の解放を認めたの。
こうして、モーセはイスラエル人を率いてエジプトを発つことになったの」
「一件落着だね」
「でもそうはいかなくて、ファラオはやっぱり諦めきれずに軍勢を率いてモーセ達を追いかけるの。
モーセ達の行く手には紅海。後ろから迫りくるファラオ達」
「あっ、ここで有名な海が割れるシーンだね。『十戒』のそのシーンだけテレビで見たことあるよ」
「モーセが杖を上げると海が割れてイスラエル人たちが渡れるようになったの。
みんなが渡り終えたあとで杖を降ろすと海が元通りになって、後を追いかけていたエジプトの軍勢を飲み込んだの」
「これで本当に一件落着だね」
「でも、そうとも言い切れないの。
神様はイスラエル人のために用意された『約束の地』へ連れて行くことになるのだけど、それも苦難の連続。
結局、モーセは生きているうちに約束の土カナンにたどり着くことはできなかったの。
とりあえず今日はこのくらいにしておきましょうか」
「いやー大スペクタクルだったね。
ところで、創世記のヤコブとエサウの話のときに出した日本神話の山幸彦、海幸彦の潮盈珠 と潮乾珠 の話を覚えている?
あれも潮の満ち引きを操作して相手を懲らしめる話だよね。
モーセの海割りとなんとなく似ているよね」
「そう言えば、そうね」
「しかし、エジプトのファラオもしつこいね」
「たぶん、イスラエル人のことが好きで好きでたまらなかったんじゃないのかな?
私も好きな人にはずっとそばに居てほしいもの」
「ヨシアさんの好きな人かぁ……。どんな人だろな」
「ふふ、さぁ、どんな人でしょうね」
ヨシアさんの眼差しが鋭く僕に突き刺さった。
「もう『創世記』は終わったんだ」
「『創世記』から『出エジプト記』までのあいだに長い年月が流れたの。
そのあいだにイスラエル人はエジプトの奴隷として暮らしていたの。
イスラエル人の数が増えてくるとエジプトのファラオは宗教の違うイスラエル人を脅威と考えるようになって、人工を増やさないようにイスラエル人の新しく生まれた男の子を殺すように命令をだしたの」
「酷い話だね」
「そうしたなかでモーセは生まれたの」
「モーセって映画『十戒』の主人公モーゼのこと? モーゼと濁らすにモーセというんだね」
「キリスト教ではモーセと言っているわ。
モーセは本来殺されるところを隠して育てていたけど、隠しきれずにパピルスの籠にいれてナイル川に流したの」
「日本神話の蛭子のようだね。
イザナギとイザナミのあいだの初めての子供が不具の子だったので葦の舟で流した話」
「モーセはエジプトのファラオの娘に拾われてそのままエジプト人として育てられることになったの」
「奴隷からすごい出世だね」
「ある日、モーセが重労働をさせられているイスラエル人がムチで打たれているのを見て、ムチを振るっているエジプト人を殺してしまうの。
そのことがファラオにバレて、モーセは逃げることになったの」
「あっ、一気に転落だ……」
「モーセはミデヤンという土地に行き、そこでお嫁さんを貰うことになるの。
しばらくは羊飼いとして生活をしていたら、ある日、燃える柴から神様の声を聞いたの。
神様はモーセにイスラエル人を率いてエジプトを出なさいと言うの。
神様はモーセに奇跡を起こす杖を渡して、これを使ってファラオを説得しなさいと命ずるの。
でもモーセは口下手だったから、人前で話す役目はモーセの兄アロンに任せることにしたの。
ファラオと面会したモーセはヘビに変わる杖を見せてイスラエル人の解放を要求したけど認められず。
その後の面会でも解放は認められず。
そのたび毎にエジプトに災いが起きることになるの。
その災いというのが――
ナイル川を血に変える。
カエルを大量発生させる。
ぶよを大量発生させる。
あぶを大量発生させる。
家畜に疫病を流行らせる。
腫物を流行らせる。
雹を降らせる。
イナゴを大量発生させる。
エジプト中を暗闇で覆う。
長子を皆殺しにする。
の十の災いなの。
最後の長子を皆殺しにするというのが
入り口に羊の血を塗っておけば長子殺しを過ぎ越せるというもの。
その後、イスラエルでは過越の祭というのを毎年行うことになるの」
「エジプトも散々だね。早く解放してあげればよかったのに」
「イスラエル人は神様に愛される民族だから、ファラオも手元に置いておきたかったのかもね。
でも、さすがにエジプトも観念してイスラエル人の解放を認めたの。
こうして、モーセはイスラエル人を率いてエジプトを発つことになったの」
「一件落着だね」
「でもそうはいかなくて、ファラオはやっぱり諦めきれずに軍勢を率いてモーセ達を追いかけるの。
モーセ達の行く手には紅海。後ろから迫りくるファラオ達」
「あっ、ここで有名な海が割れるシーンだね。『十戒』のそのシーンだけテレビで見たことあるよ」
「モーセが杖を上げると海が割れてイスラエル人たちが渡れるようになったの。
みんなが渡り終えたあとで杖を降ろすと海が元通りになって、後を追いかけていたエジプトの軍勢を飲み込んだの」
「これで本当に一件落着だね」
「でも、そうとも言い切れないの。
神様はイスラエル人のために用意された『約束の地』へ連れて行くことになるのだけど、それも苦難の連続。
結局、モーセは生きているうちに約束の土カナンにたどり着くことはできなかったの。
とりあえず今日はこのくらいにしておきましょうか」
「いやー大スペクタクルだったね。
ところで、創世記のヤコブとエサウの話のときに出した日本神話の山幸彦、海幸彦の
あれも潮の満ち引きを操作して相手を懲らしめる話だよね。
モーセの海割りとなんとなく似ているよね」
「そう言えば、そうね」
「しかし、エジプトのファラオもしつこいね」
「たぶん、イスラエル人のことが好きで好きでたまらなかったんじゃないのかな?
私も好きな人にはずっとそばに居てほしいもの」
「ヨシアさんの好きな人かぁ……。どんな人だろな」
「ふふ、さぁ、どんな人でしょうね」
ヨシアさんの眼差しが鋭く僕に突き刺さった。