第7話 ブラジャー・ミッション
文字数 1,478文字
朝、目が覚めると女になっていた。
……いや違う。昨日の昼からだ。
昨日、サタンに見知らぬ女の子=後藤伊吹 さんと魂を入れ替えられたのは夢ではなかった。
「おはよう。どう、調子は? 記憶戻った?」
顔を覗かせたのはルームメイトの園原芳愛 さん。
ヨシアさんのショートボブの髪が朝日を浴びて黄金色に輝く。
「おはよう。まだ戻らないみたい」
日曜日まではイブキさんを演じなければならないので、今週はずっと記憶喪失ということにしておく。
制服に着替えるためにパジャマを脱ぐ。
最初の難関のブラジャーを着けなければ。
昨日は外すことは割と簡単にできたけど、つけるのはどうだろう?
ストラップに腕を通し、肩にかける。
背中に手を回してホックをはめようとするけどうまくいかない。
「はめにくいときはこうするの」
ヨシアさんはつけていたブラジャーを一旦外し、ホックを前にして脇に巻いた。
おっぱいが丸見えである。
女の子同士なので、ここで目を逸らすとかえって不自然となるのでちゃんと見ないと。
ヨシアさんはおっぱいの下でブラジャーのホックを留め、くるくると背中の方へと回した。
それからブラジャーを上げ、おっぱいを収めてからストラップに腕を通した。
最後にブラジャーの隙間に手を入れ、位置を整えた。
「やってみて」
ボクも同じようにやってみた。
なるほどこれなら簡単だ。
今まで生きてきて初めてブラジャーのつけかたを知ったよ。
相手の立場になってみないと分からないこともあるんだな。
次にスカートを手に取った。
スカートはこんなにも筒抜けで、一枚の布でしかないように見える。
穿いてみるとほぼパンツが外気に晒されている状態で何とも無防備。
女の子はよくこんなの穿いていられるな。
ギザギザが入ったスカートを見るとギザギザの向きが左右対称じゃないことに気がついた。
上から見ると、左側の折り目の下に次のギザがある。
全体でみると渦が外側から右回りで内側に向かっている感じだ。
てっきり正面から左右対称だとばかり思っていた。
セーラー服を着てスカーフを巻く。
「曲がっているわよ」
ヨシアさんがボクの胸に手を伸ばし、スカーフの結びをほどいた。
「本当にイブキさんは私がいないとダメねぇ」
スカーフを結び直してくれるヨシアさんの頭からはシャンプーの香りがした。
朝の準備を終え、登校するときにヨシアさんが「ロザリオを忘れているわよ」と言った。
ロザリオって……、あの十字架の首飾りか。
机の上に置いていたロザリオを手に取り首にかけた。
「ちがうわ、イブキさん。
ロザリオは首にかけるものじゃないわ」
「えっ、そうなの?
首にかけるようにできているけど」
「お祈りの時に手に持つものなの」
知らなかった。
「本当にイブキさんは私がいないとダメねぇ」
ヨシアさんがルームメイトで助かる。
知らないことが多すぎて色々頼りになりそうだ。
セーラー服姿で表に出るのは緊張する。
女装をしているようで恥ずかしい。
歩いている時にいきなりセーラー服姿の細石 巌央 に戻ったりしないよね。
立ちすくんでいるとヨシアさんが「さぁ、行きましょ」と左手を伸ばしてきた。
ボクはヨシアさんの手を掴み、最初の一歩を踏み出した。
で、何故だかそのまま手を繋いで登校することになったんだけど、女の子同士ってそういうものなのか?
並んで歩くヨシアさんの口元は緩んでいた。
……いや違う。昨日の昼からだ。
昨日、サタンに見知らぬ女の子=後藤
「おはよう。どう、調子は? 記憶戻った?」
顔を覗かせたのはルームメイトの園原
ヨシアさんのショートボブの髪が朝日を浴びて黄金色に輝く。
「おはよう。まだ戻らないみたい」
日曜日まではイブキさんを演じなければならないので、今週はずっと記憶喪失ということにしておく。
制服に着替えるためにパジャマを脱ぐ。
最初の難関のブラジャーを着けなければ。
昨日は外すことは割と簡単にできたけど、つけるのはどうだろう?
ストラップに腕を通し、肩にかける。
背中に手を回してホックをはめようとするけどうまくいかない。
「はめにくいときはこうするの」
ヨシアさんはつけていたブラジャーを一旦外し、ホックを前にして脇に巻いた。
おっぱいが丸見えである。
女の子同士なので、ここで目を逸らすとかえって不自然となるのでちゃんと見ないと。
ヨシアさんはおっぱいの下でブラジャーのホックを留め、くるくると背中の方へと回した。
それからブラジャーを上げ、おっぱいを収めてからストラップに腕を通した。
最後にブラジャーの隙間に手を入れ、位置を整えた。
「やってみて」
ボクも同じようにやってみた。
なるほどこれなら簡単だ。
今まで生きてきて初めてブラジャーのつけかたを知ったよ。
相手の立場になってみないと分からないこともあるんだな。
次にスカートを手に取った。
スカートはこんなにも筒抜けで、一枚の布でしかないように見える。
穿いてみるとほぼパンツが外気に晒されている状態で何とも無防備。
女の子はよくこんなの穿いていられるな。
ギザギザが入ったスカートを見るとギザギザの向きが左右対称じゃないことに気がついた。
上から見ると、左側の折り目の下に次のギザがある。
全体でみると渦が外側から右回りで内側に向かっている感じだ。
てっきり正面から左右対称だとばかり思っていた。
セーラー服を着てスカーフを巻く。
「曲がっているわよ」
ヨシアさんがボクの胸に手を伸ばし、スカーフの結びをほどいた。
「本当にイブキさんは私がいないとダメねぇ」
スカーフを結び直してくれるヨシアさんの頭からはシャンプーの香りがした。
朝の準備を終え、登校するときにヨシアさんが「ロザリオを忘れているわよ」と言った。
ロザリオって……、あの十字架の首飾りか。
机の上に置いていたロザリオを手に取り首にかけた。
「ちがうわ、イブキさん。
ロザリオは首にかけるものじゃないわ」
「えっ、そうなの?
首にかけるようにできているけど」
「お祈りの時に手に持つものなの」
知らなかった。
「本当にイブキさんは私がいないとダメねぇ」
ヨシアさんがルームメイトで助かる。
知らないことが多すぎて色々頼りになりそうだ。
セーラー服姿で表に出るのは緊張する。
女装をしているようで恥ずかしい。
歩いている時にいきなりセーラー服姿の
立ちすくんでいるとヨシアさんが「さぁ、行きましょ」と左手を伸ばしてきた。
ボクはヨシアさんの手を掴み、最初の一歩を踏み出した。
で、何故だかそのまま手を繋いで登校することになったんだけど、女の子同士ってそういうものなのか?
並んで歩くヨシアさんの口元は緩んでいた。