第36話 香川 金刀比羅の例大祭

文字数 1,433文字

 香川県西部、琴平町に位置する金刀比羅(ことひら)宮。
 10月9日から11日までの3日間、町をあげて行われるのが例大祭だ。その中でも10月10日は、大神さまが山から町へおりられる日で、御神輿(おみこし)を含めて御本宮から町の御旅所まで数百人が行列を成す「こんぴらさんの日」とのこと。



 琴平駅に着いたのは14時頃。御神輿が出るのは21時から。まずは現場視察ということで、駅からそのまま歩いて御本宮を参拝する。
 御本宮までは785段の階段を(のぼ)って行く。参道に無料の貸し出し杖がたくさん置かれていることからも、その道のりはかなりしんどいのだと分かる。



 だが僕はこの5日間、相当パワフルに活動してきたし、毎日のように高所へ登っていたのだ。階段などへっちゃらなはずだ。



 そう思ってタンタンと小気味良く階段を進んで行くが、半分くらいで「あれ、ちょっとキツイぞ」と思い始めた。それでも休憩せず歩き続け、ようやく御本宮へ到着した頃にはちょっと膝がガクガクいっていた。ノンストップはあかん。



 御本宮に(まい)り、そのあと重要文化財である表書院にて、円山応挙などによる障壁画を拝見。そして戻りの際には冷やし甘酒を飲んだ。生姜の効いた甘酒、美味(うま)いなぁ。



 いったんホテルに入り休憩しようと思ったら、隣の部屋で男女が大喧嘩している。ドン、バンと何かがぶつかる音も聞こえてあまりにも不快なので、部屋を変えてもらった。こういう事もあるんですねぇ。代わりの部屋は静寂そのもの。支配人と思われる(かた)の対応も良く気が回って、さすがホテルスタッフという感じ。ありがとうございました。



 惣菜で夕食を済まし、ビールを飲みながら前回の雑記を書いていると、もう20時になっていた。バッグを部屋に置いたままで外出する。背中が重くないと体ってこんなに軽く動くのね……と実感。



 参道には既に人集(ひとだか)りができていた。しかし僕はその人集りを横目に歩き続け、階段を(のぼ)り、御本宮の少し手前で待機する。ゼェゼェ。

 21時に近付くと行列が本格的に動き出した。ネットでは600人ほどが行列に参加するとなっている。見ている限りでは、もっと多いような気がした。



 白、青、黄などの装束(しょうぞく)を身に(まと)った人たちが、定められた順番で行列を成す。そして、その行列の最後尾に御神輿があった。



 かなり重いのだろう。何十人もの担い手が御神輿を担いで歩いている。
 少し歩いて、階段の手前でいったん御神輿を降ろし、休憩したら一気に階段を()りて行く。その繰り返しだ。
 僕の他にも、おそらく公式の撮影をしている人やら、高級そうなカメラでパシャパシャと写真を撮影している人などがいて、御神輿の動きに合わせ早めに階段を()りてパシャ、もしくは動画を撮っていた。

 1時間ほど御神輿の動く様を撮影。歩きながらスマホで動画を撮るのが上手くなってきた。今後この経験がどこかで生きるといいな。
 ……じゃなくて、1時間でちょっとしか進んでいないことに驚く。このまま御神輿を撮影していたらホテルへの戻りが日を(また)ぐのでは、なんて思ってそそくさと退散することにした。

 行列の横を歩き続けること15分、そしてさらに15分くらいかけてホテルへと戻る。部屋でシャワーを浴びてコーヒー()にご当地ビールを飲んだ。ベッドに寝転び、この雑記を書いて今日は終了。もう0時なんだけど、いまだに町は賑やかなようだ。

 なんだか(せわ)しない一日だった。それでも例大祭の一部を観ることが出来たし、なんてったって午前中の桂浜は楽し過ぎた。素晴らしい日ぜよ。
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