第12話 北海道旅の終わり

文字数 1,399文字

 今日は北海道から出る、新幹線で4時間ほど過ごして地元に戻る日だ。



 ホテルの朝食バイキングを昼の分までがっついて、すぐに函館駅から普通電車に乗り新函館北斗へ移動した。
 みどりの窓口で新幹線の指定席を確認してもらうと、2列席と3列席の端っこは全部予約で埋まっており、3列席の真ん中しか空いていないということだった。

「平日の朝なのに埋まってるんですね……」
「途中からお乗りになる方もいらっしゃいますので」

 なるほど、じゃあもしかすると隣が何かの都合で来ないという展開もあるのかな。というか他の選択肢がないから真ん中の席を取ってもらった。もしかして、休日なら席が全く無いということもあり得るのか。

 まだ乗車時間まで1時間以上あるので、いったん駅を出て周りを歩く。ええと、レンタカーとホテルがあるくらいか。ここはあくまでも乗り継ぎの経由地なんだねぇ。

 昨日にもお土産は発送したけど、なんとなくキオスクでまたお土産を買った。ついでに見たことのない缶のブラックコーヒーも買った。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 新幹線はまばらな乗客を乗せて発車した。途中でたくさんの人が乗ってくるのだろう。iPadのバッテリーがもつ間は雑文やら小説やら書いて過ごそう。せっかく電子書籍のサブスクに入っているのに、最近はあんまり本を読んでいない。特に理由はない。

 北海道を出るために青函トンネルを抜けるというアナウンスが流れた。22分ほどトンネルの中らしい。乗客としては22分の暗闇が続くだけ、でもそれだけの長さのトンネルを掘った人たち、本当にすごいと思う。開通までにはものすごい数の人たちが関わって、色んなことがあったんだろうな。

 東京目指して新幹線は突き進む。ずっと田園の風景が続き、停車する駅の(そば)は栄えている感じ。それでも仙台には地元よりもずっと都市感があった。
 何回窓の外を眺めても似たような景色だけど、緑色が目に優しい。今日は東北に限れば晴れのようで。出来れば昨日、函館もそうであれば良かったのに。

 仙台を過ぎると満席となり、客車の間のデッキ部分に立つ人がちらほら。指定席売り切れあとの特急券の持ち主が多いみたいだ。平日だぜ……? と思ったけど、金曜日だからこれから東京へ行って、土日を過ごすとか、東京からまた何処(どこ)かへ行くとかなのか。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 こうしてフェリーから始まった北の大地への旅は終わった。

 ザンギは食べられなかったし、もっと効率的に動けばもっと色々観て周ることが出来たんだろうけど、それでも旅は楽しかった。

 次は九州か、四国か。少し待って気温が下がってからの(ほう)()いかも知れない。結局、北海道ですらずっと半袖で、ずっと汗をかいていたから。
 あと、下調べはやっぱり必要だ。エイヤッと弾丸的に出発して、現地に着くまでの間に調べるのは中々難しい。最初からきちんとルートを決めて行くべきだった。

 ホテルについては、それほどこだわらずに駅の近くを取ればいいと思った。滞在時間の半分以上は夢の中なんだから。

 フェリーに乗ってから北海道を出るまで、テレビもネットニュースも見ていない。だからこの期間に地球上で何が起きたかなんて知らない。おそらく、大きな変化はなかっただろうし、あったとしてもきっと僕には関係ないことなんだろう。毎日のように流れてくるニュースは、いつもどこか違う世界での出来事なんだ。

 以上、北海道編でした。
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