第35話 高知 桂浜でアシカに餌やり、他
文字数 2,124文字
真っ
これなら、土佐湾に臨む桂浜が楽しみだ。ウキウキしながら高知駅と桂浜を往復する周遊バスに乗った。
バスは途中、朝ドラで有名になった牧野富太郎博士を記念した牧野植物園や四国霊場第31番札所である竹林寺を経て、1時間ほどで桂浜に到着。
さっそく浜に出ると、思わず息を呑んだ。
「すっげぇ……」
一面のエメラルドグリーン。
寄せて、返す。海水が砂浜に押し寄せ、
ちょっと触ってみよう。海水はひんやりとして、もう夏は終わったんだよと教えてくれる。
浜辺を歩き、龍王宮の展望スペースで海を撮影。海原に光射す。波のリズムに合わせて反射光がダンスをしている様に見える。空は海に近付くほど薄い水色になり、海から離れた青い空には筆を滑らせて
つまるところ絶景なのであった。
11時30分の戻りのバスが出発するまでに、3か所を回らなければならない。まずは坂本龍馬記念館へ急ぎ歩く。なだらかな坂道でふぅふぅ言いながら、記念館に入る。坂本龍馬の人生を凝縮したような展示があった。中でも面白かったのは、龍馬が妻お
書簡の現物は何が書いてあるかさっぱり分からないけど、ちゃんとそれぞれに現代語訳が付いている。中にはお龍への詫び文なんてのもあって、坂本龍馬の人柄を理解しやすかった。
あと目を引く物といえば、龍馬が暗殺された時に近江屋にあった屏風や掛軸に付着した血痕だ。血液鑑定はされていないらしいから真偽は不明だけれど、
ジョン万次郎のコーナーでは、彼と
建物の屋上からの眺めは抜群で、もう既にたくさん撮ったはずの土佐湾をまたパシャパシャ撮る。土佐湾というか、この景色は太平洋なのかも知れないが。
そうして龍馬のことを多少理解した気持ちになり記念館を出て、その足で大きな坂本龍馬像を観に行く。
像は台座を含めると13.5メートルもあるらしい。それなら下からだけじゃなくて横からも撮りたくなるぞう。と思っていたら、すぐ横に仮設で「龍馬に大接近」という特設展望台があった。11月中旬までのようだ。
100円を払い、仮設のちょっと頼りない構造物を上がると、龍馬像の顔の真横に出る。どデカい龍馬の視線の先には土佐湾というのか太平洋というのか。暗殺されてなかったら、きっと晩年はお龍と海外視察にでも行ったんだろうなぁ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
記念館とか浜辺が楽しすぎて後回しになったが、メインイベントの桂浜水族館へ行くのだ。ここは、トドやアシカに餌やりが出来ると知って、絶対に訪れたいと思っていた場所。
水族館に入って右手にそのコーナーがあったけれど、順路は逆方向だった。いきなりデカいウツボの展示があってビビる。うん、デカいしちょっと怖い。これが料理店で出されているウツボかー、と喉をゴクリと鳴らせて観る。
シマアジもいた。結構グロい顔してるんだな。
この辺りでちょっとお腹が空いたのもあって、昼食は魚にしようと思い立つ。水族館あるあるでござるな。
そのほかにも、小さな水族館とは思えないほどのたくさんの魚の展示があったが、ちょいと時間の都合でゆっくりしてられないのでサクサクと観ていった。
2階の展示室や、深海魚のミニコーナーも見学して、さて、餌やりコーナーだ。100円払って魚1匹をトングでクーラーボックスから出し、餌を直接あげるもしくは
試しにトドに魚をあげてみたら、「お前もエサくれるの?!」と必死な顔で近付いて来る。
「か、
百円玉が尽きたので、自販機でコーヒーを買って、お釣りでアシカにも餌をやる。今度はスマホで動画撮影しながら、餌を見つけた時の表情をしっかりと記録する。うん、上手くいった。家宝が増えてしまったな。
口の中はキバが生えているみたいで、手を出したら食いちぎられそうなんだけど、トドもアシカもとにかく表情が愛らしい。ああ、桂浜に来て良かった。
アシカのショーがあるのかどうか分からないけど、もうバスの時間だ。行かなきゃ。……帰りしな、ペンギンの体重測定の様子も見た。係員が体重計に乗ったまま、他の人からペンギンを受け取る。加算された分がペンギンの体重だ。体重測定後に魚を食べさせていた。ってイカンイカン、バスの時間だってば。
出発まで15分あったから、土産物店に立ち寄る。家にラングドシャとかクッキーとかを配送してもらうよう手配して、ギリギリでバスに乗った。
高知駅併設の居酒屋のランチで、かつおのタタキや刺身の定食を食べた。分厚いタタキは生臭さなんて全然なくて。ゆずポン酢につけていただくとジュワッと口の中に風味が広がり、ご飯がススムススム。この食事をもって、土佐とはお別れ。
というわけで、お次は香川県、琴平です。