第34話 高知 山とか城とかくじらとか

文字数 2,162文字

 起きてすぐに外を見ると、雨は止んでいた。やったね。

 ということは、今日はプランBでの観光となる。プランAは高知城を観て桂浜に行ってというもので、プランBは高知に着いてすぐ低山を登るというものだ。プランBの場合は翌日に桂浜へ行く流れ。高知といえば坂本龍馬、龍馬といえば桂浜?



 朝食バイキングが美味(うま)そう過ぎて、3食分くらい取ってしまった。誰が食うんだこんなにと思いながら、卵かけご飯やウインナー、焼きそばにサラダ、揚げ物各種など、皿にこんもり乗せられたというか乗せたものを胃の中へぶち込んでいった。



 チェックアウトしてすぐに四万十(しまんと)川、昨日とは違う橋へと向かった。昨日は雨で水かさが増していたが、今日は穏やかに流れている。中洲で白鳥なのか、白い鳥が集会中だった。後方に見える山は相変わらず白く煙っている。まだあちらは少し雨が残っているのだろう。
 パシャパシャと景色を撮影して、その光景を目にも焼き付ける。そうしているとスマホのアラームが鳴った。ここから中村駅までは徒歩で20分。そろそろ行かなければならない時間だ。

 早歩きで中村駅まで。すでにたくさんの人が特急列車を待っていた。
 そういえば、この雑記で間違えて「電車」と表現したところがあったみたいだ。九州でも四国でも、海岸沿いとか山間(やまあい)を走るのは大抵「ディーゼル車」つまり「列車」だった。もしくは「気動車」とか「非電化」と言うらしい。もう今さら過去の投稿分を訂正したりはしないけど。

 さてさて、祝日の混み合う特急列車に乗って、1時間半ほどで高知駅。
 早速、駅の南方面に位置する高見山の皿ヶ峰を目指す。まずは潮江天満宮(うしおえてんまんぐう)を参拝する。こちらは菅原道真公を主祭神としているようだ。



 ちなみに寺は「参る」、神社は「詣る」と言うとかなんとか。ネットで調べると全部「参る」とする場合もありそうだが、迷ったら「参拝する」と書けばきっと問題なし。



 そして高見山の入り口から、苔むした石の階段を(のぼ)り、駐車場を素通りして、墓のど真ん中の横幅が人ひとり分しかない道を突っ切り、木で土を()き止めるようにして造られた階段をまた(のぼ)り、最後はほとんど獣道のような場所を上がって行くと、ようやく頂上なのであった。



 同じ名前で別の県にある高見山とは違い、こちらは標高163メートルの低山だ。それでも、パノラマで高知市内を見渡すことが出来る。四国はどこも高所からの眺めが素敵だ。雄大な自然の中に人工物が並ぶ姿は、いつの時代も人の心を揺さぶってきたのだろう。

 満足して下山。ちょっとお腹が空いてきたけれど、先に汗を流しに温泉へ行くことにする。山の少し北、川沿いにある温泉を訪ねる。
 受付で入浴料を支払おうとすると、何やらお知らせがあるとか。

「実は、アプリでお友達登録してアンケートに答えていただくと、初回のみ入浴料が無料になるんです」
「エエー。1100円の入浴料が、無料になるんですかー?」

 という怪しい通販番組みたいな会話をして、お友達登録後アンケートに答えたため入浴料は無料(タダ)、なんとタオル代だけで楽しめちゃったんだぜい。
 サウナと水風呂があるので、いつものセット、サウナ、水風呂、外気浴を2回。露天風呂に浸かり、はぁあーと大きな息を漏らす。

 さっぱりして着替え、いざ高知城へと歩いて行く。
 高知城は初代藩主山内一豊によって築かれ、一度焼失するも再建され今に至る。古くからある城だ。



 防衛に重きを置いていたためか、かなり階段を(のぼ)らなければ辿(たど)り着けない。おじさまおばさま(がた)がひぃひぃ言いながら一歩ずつ、休憩もしながら上がって行く。というか僕もヒィヒィ言いながら上がって行った。



 天守には忍返(しのびがえ)しと呼ばれる、城から突き出た鉄槍のようなものが見られた。現存するのはかなり珍しいらしい。守りのための城というのがひしひしと伝わってくる。
 さて、入城すると古い構造のため当たり前のように急階段が現れる。床も歩くたび(きし)む。火縄銃とその使い方の展示があり、興味深く眺めた。ファンタジー小説で出してみようかな。
 最上階の展望は、さっきの皿ヶ峰より低い。オイラはもっと(たけ)ぇ所から来たんだぜぃ。でもありがたく写真は撮っておいた。



 初めて訪れる城はワクワクする。特に古いまま残っている城の中を歩くと、当時の人々の気分に浸れて嬉しくなる。低い天井、弓や鉄砲のための狭間、城から見下ろす景色……。過去には戻れなくとも、過去を想像することは出来るのだ。



 城を出てすぐの高知城歴史博物館へも行き、より深く高知城や土佐の歴史を知る。やはりここにも野中兼山の名前があった。高知にこの人あり、といったところか。観ているうちにお腹がグゥと鳴る。

 ホテルへ向かう途中に魚中心の料理店あり。くじら定食なるものを注文。くじらの刺身、竜田揚げ、くじらの舌であるサエズリを食べた。哺乳類なだけあって魚というより牛とか馬に近い食感で、やっぱりお肉って感じでしたな。全部美味しかった。



 翌日は朝早く桂浜行きのバスに乗る予定で、バスターミナルにて(あらかじ)め往復券を購入。初めてこの地を訪れる旅行者なんだけど、それを察してか受付の方が物凄く丁寧な説明をしてくれてありがたかった。簡潔にして理解しやすい説明だ。

 なんだか嬉しい気持ちでホテルへ入る。シャワー、晩酌、書き物してオネンネ。
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