第29話 尾道 しまなみ海道を自転車で 出発編

文字数 1,159文字

 朝7時、公共のレンタサイクルにてクロスバイク、つまりスポーツレジャー向けの自転車を借りた。予約はしてなかったけど、どうやらゴールデンウィークとかのよっぽど集中する時でなければ借りることは可能だそうな。その代わり、選べるのは予約されていない余り物だから、タイヤの状態とかガタガタしないかとかをきちんと見て選ぶ必要がある。



 僕が選んだ白いフレームのやつは、そこそこタイヤの溝が残っているという意味では唯一のクロスバイクだった。ヘルメットもたくさんの中から頭がすっぽり入るものを選択して、手続きはおよそ10分程度で完了した。今治(いまばり)駅前のスポットで乗り捨てるからデポジットは戻ってこない。3千円と僕の体力が尾道(おのみち)から今治までの運賃だ。

 しかし、平日だからか僕以外は外国人さんだらけ。

「結構、外国人比率高めなんですね」
「今じゃしまなみ海道は、世界一のサイクリングコースって紹介されることもあるらしいですよ」

 世界一……。最近まで全く知らず、申し訳ございません。
 そして割とシティサイクル、つまりママチャリを選ぶ人が多かった。前にカゴがあるから便利なんだとか。坂はどうやって(のぼ)るんだろう。



 200メートル弱くらい走るとすぐにフェリー乗り場があって、そこでフェリーに乗って対岸の向島(むかいしま)へ渡る。運賃は人100円プラス自転車10円で、フェリー出発後に船上で支払う。地元の高校生もフェリーで通学している様子。スマホの画面を係員に見せていた。おそらく定期券的なものだろう。



 5分ほどで向島に上陸し、クロスバイクにまたがり走り始める。道にブルーのラインが引かれており、それに従って進めば今治に辿り着いてしまうという親切設計。しかも、1キロ毎に「あと76キロ」と残りの距離を示してくれる。迷うことなく、しかもどんどんゴールに近付いているのが分かるという素晴らしい配慮。

 クロスバイクのギア操作に慣れるため、最初はゆっくりとペダルを()ぎ出してみる。変速はスムーズで、ブレーキもしっかりと効く。フレームを左右に振ってもギシギシしない。今のところは当たりの自転車みたいだ。

 サドルに乗せているお尻がすぐ痛くなった。このことは色んな人のブログで読んでいたけれど、そりゃ長時間座ってりゃ痛くなるよな、と舐めていたかも知れない。実際は、走り出してすぐに痛くなりだして、そのままずっと痛いし、なんならドンドン痛みは強くなっていく。
 だから(くだ)りとかのペダルを漕ぐ必要がないタイミングでは、常にお尻を上げて休ませることにした。じゃないともたないぜ!

 島々の観光スポットを巡っていると、とてもじゃないけど1日で今治駅前まで行けない。もうひたすらブルーのラインに沿って走り、道の駅や道路沿いのスポットだけ立ち寄ることにした。

 という最序盤を書いただけで、次回へ続きます。
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