第1話 徒然草を読んで エッセイ

文字数 1,103文字

徒然草は吉田兼好(1283生ー1352没)の作品で、日ごろ思っていることを、短文や長文で書かれた作品である。内容は243段に分かれ、鎌倉時代の当時のことから、過去の逸話もとりいれ、世の中の出来事、それも高貴な方々の関連した、仕来り、行事や生活、36歳で出家して仏教の重要性を説き、音楽や和歌や色々な分野のことを、その日思いつくままに記載している。思いつくままと言いながら、下調べや文章の練り直しの推敲は充分されたようにみえる。起承転結の文章もあるが短文にまとめていることが多い。起と結は必ずある。自分の意見も内容の中に込められていながら、他の人に代弁させている手法も用いる。具体的な天皇の名前や貴族や僧侶の名前をだし彼らにまつわる出来事を記し、結果はこうなったという教訓的な物も多い。人物や行動はネットで掲載されて居るのも多く、それを探し理解し、本を読み直すと、徒然草の世界に浸ることが出来た。連続長編小説ではないので、一概にこの作品がこうだということは難しい。しかし、当時代の 貴族の方々と同じように教育を受け、家業の神官時代の教えや実際に天皇に仕えた経験もある。優れて知的な人格形成がされ、短歌も伝えられ、有名な作品も残され、当時を代表する才能豊かな知識人である。後醍醐天皇と鎌倉幕府との騒乱や足利尊氏の室町幕府の創設などの混乱した時代を生きてきた。直接に騒乱を文に記してはいないが、リアルな当時の世を書き残した貴重な本で功績は大きい。枕草子や方丈記と並び称される日本3大随筆に列せられる価値ある作品である 然草を読むにあたり、700年前の言葉は現代と違う部分も多く、古語辞典やネットを見ながら、段ごとに現代語に変換し、ブログに投稿した。日々、この現代訳にアクセスがあり、その数字が読破の気力を後押ししてくれた。最後まで、原文を出来るだけ残し、読みやすくした気がする。表現された古語の意味を知り、その奥ゆかしさ、こんな言葉を今でも使いたいような単語が沢山あった。日本語の奥深い意味合いが残る言葉を、もっと大切に引き継いで行った方が良いような気がした。毎日、何段かを読み、納得させられることが大半で、楽しい読書の期間を過ごすことが出来た。もうこれで読了となり寂しいことだが、他の小説などと違って、徒然草は段ごとに内容が異なり、夫々結論がある。日々、人生の岐路に立った時、徒然草の段を捜し、見付け読むことで、心洗われることがあるに違いない。生涯の座右の銘として、時折ページをめくるにたる、価値のある本である。兼好先生が生きていれば、会ってみたい一人でもある。
令和4年2月26日 下邑成昭
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