悪い魔法をとめるには

文字数 1,079文字

カーレン! カーレン!

わ、アプル! こっちに来るな!

なんで!?
ほら、このあたり⋯⋯足元にいばらが⋯⋯!
アプルが見ると、足元にはいばらが生いしげっていて、カーレンの足には血が滲んでいました。
(わ、痛そう⋯⋯! でも、ここで逃げるわけにはいかない!)
ねぇカーレン。私、歌詞完成させてきたよ!

カーレンの考えたダンス、最後まで教えてほしいな。

えっ⋯⋯ダンスは完成させてきたけど、今する話かよ⁉
いいから教えて!

(アプルにも何か考えがあるはず。)

――わかった。まずは右足を前に出して!
アプルはカーレンの踊りに合わせて歌い踊りはじめます。
(う⋯⋯やっぱりいばらが痛い――!)

フシギね 出会ったばかりなのに

ダンスシューズみたい おそろい ワンセット

(ううん、キラキラをおすそ分けするなら、私も笑顔じゃないと!

いばらなんかに負けられない!)

二人ステキなキラキラ おすそ分けしに行くんだ


(アプル、歌もダンスもすごくうまくなってる!

いっぱい練習したもんな⋯⋯。)

くじけそうなときだってあるけど 負けない

だって真っ赤なりんご色の思いがいっぱい

(ここから考えてきた大サビっ!)
(ここから考えたラストのダンスっ!)

一人じゃできないことも 力合わせればできる

軽快なステップでLet's Dance!

君に届けるよ 本当のきらめき

空に届けるよ 二人のときめき

(ここで腰にひねりを入れて、最後に手をふりあげて――Vサインでフィニッシュ!)
(いえーい、Vサインっ!)
――あれ、くつが止まった!
やったー! キラキラが悪い魔法に勝ったんだ!
そうか、アレは神様の罰じゃなくて、悪い魔法だったんだ!
うん、メイド長さんが教えてくれたんだよ。

メイド長さんが……。

あ、アプル。それよりゴメンな。これからライブなのに、足が傷だらけだ……。

大丈夫! カーレンのせいじゃないよ。

それにちょっとしたひっかき傷だからあとは残らないと思うし――

今日のライブはパンツスタイルで出れば大丈夫!

って、あーっ! すっかり忘れてたけど、このあとライブだ!

今から準備して間に合うかなぁ!?

ご安心を。急げばギリギリで間に合いますよ。

そう、ミスター・ミラーが言うなら間違いないわね。

ありがと!

どういたしまして。それより、急がなくてよいのですか?

「急げばギリギリで間に合う」ということは、

裏を返せば、「のんびりしていたら絶対に間に合わない」ということですよ?

ああ、そっか! じゃあ、急いでフルーツ村の劇場に向かわないと!

カーレンもホウキの後ろに乗って!

ああ、わかった!
(――しかし、今回使われた悪い魔法……私、どこかで知っているような……)
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登場人物紹介

【アプル】
ワンダーランドの片隅で暮らしている、りんごの魔女。
世界で二番目にかわいいけど、魔法の腕前はイマイチ。
かわいいことを生かして、自分らしくキラキラ輝きたいから、アイドルを目指します!

【ミスター・ミラー】

ホワイト城の物置きにあった、しゃべる魔法の鏡。

アプルにアイドルという存在を教え、

その後も時折アドバイスを伝える。

【カーレン】

赤いくつをはいた、ダンスが好きな少女。

両親を亡くしているが、ちょっとしたきっかけでメイド長の養子になる。

振付師としてアプルを支える。

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