お城のパーティ

文字数 1,091文字

そして迎えた、お城のパーティ当日。
きょろきょろ。きょろきょろ。

ふぅ。シックで目立たないけどそれなりにかわいい服って、結構選ぶの大変だったなぁ。

でもパーティとはいえ一周忌にあんまり派手な格好も変だろうし。

これでおかしくない……よね?

って! ちょっと待って!
見て見てー。このドレス、ピンクのフリフリ、かわいいでしょー!
わたくしのアクセサリーは全部本物の金とアメジストでできていてよ!
ちょっと大胆なスリットのドレスだから、ダイエットがんばっちゃった!
なんだかみんな普通に派手な服着てるような⋯⋯。これってどういうこと?
あの⋯⋯どうかなさいましたか?
(⋯⋯この子、すっごくかわいい!

私よりかわいいかも⋯⋯!)

あなた……どうかしたの? 不安そうに周りを見渡していたけれど……。
ええと、こういう席は初めてで。私、浮いてないかなぁと……。

いえ。お母様の一周忌に、ちゃんと気遣った服装をしてくださっていて嬉しいわ。

他の人は自分のことばっかりだもの。

お母様⁉ っていうことはまさかあなたは……。

ええ。ホワイト王国の王女、スノーよ。あなたは?

あ、私はりんごの魔女のアプルって言います。

王女様、私ってば、そうとは知らずにタメ口で……!

固くならないでいいのよ。年頃も同じぐらいだし、仲良くしましょう。
……わかったわ。よろしくね、スノー!
……。

(あれ、スノーが持ってる鏡。魔女のカンってやつかな? なんだか不気味かも。

でも、会っていきなりそんなこと言い出せないしなぁ……)

アプル、どうしたの? 急に考え事?

ううん、なんでもない。

ところで、私、まだ自分がなんでパーティに呼ばれたのかイマイチわかってないんだけど。

スノーは知ってる?

アプル、もしかしてこのパーティの目的を知らないで来たの?
このパーティの目的……? 王妃様の一周忌じゃないの?
もちろん、表向きはそうなっているけれど……。
ええい、静かに! 国王様のお出ましであるぞ!
あ、何か始まるみたいね。
……。

うむ。今宵はわしのために国中からよくぞ集まってくれた。

わしがこのホワイト王国の国王、クラウド・ホワイトじゃ。

キャー! 国王様ダンディー!
国王様こっち見てー!
国王様かっこいいー!
えっ、ちょっと、みんなどうしちゃったの……?
戸惑うアプルのもとに、王様が歩み寄ります。
ふむ、なんとかわいらしい。
え、えーと。はい。それだけはよく言われます。それしか取り柄ありませんけど……。
おぬし、名をなんと申すか。
りんごの魔女のアプルですけど……。

アプルか。気に入った。

アプルよ。おぬし、わしの妃となるがよい。

……え? ええ?

えええええええええええええええええええええええ!?

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

【アプル】
ワンダーランドの片隅で暮らしている、りんごの魔女。
世界で二番目にかわいいけど、魔法の腕前はイマイチ。
かわいいことを生かして、自分らしくキラキラ輝きたいから、アイドルを目指します!

【ミスター・ミラー】

ホワイト城の物置きにあった、しゃべる魔法の鏡。

アプルにアイドルという存在を教え、

その後も時折アドバイスを伝える。

【カーレン】

赤いくつをはいた、ダンスが好きな少女。

両親を亡くしているが、ちょっとしたきっかけでメイド長の養子になる。

振付師としてアプルを支える。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色