メイド長のおばあさん

文字数 1,010文字

あー、今日は楽しかった!

私も!

それじゃあ、明日も来るからよろしくね。

フルーツ村からここまで、ホウキでもけっこう遠いから、お昼ごろになっちゃうかもだけど……。

ああ、じゃあその辺ブラついて待ってるよ。

――あ、ここ私の家だから。

わあ……。すごいお屋敷!

こんなところに養子に入れるなんて、カーレン、すごいラッキーだったじゃない。

おや? その声はカーレンかい?
あ、メイド長さん。ただいま帰りました。

やれやれ。相変わらずよそよそしい子だねぇ。

「お母さん」と呼んでくれとまでは言わないけれど、せめて敬語はやめてくれるように言っているのにもう。

メイド長さん、こんにちは。

おやおや。あなたは確かあの時王様から逃げてた子だねぇ。

とってもかわいかったからよく覚えているよ。

りんごの魔女のアプルです。

カーレンとは今日お友達になりました!

あらあら、それはよかったわねぇ。

メイド長さん、私、アプルのお仕事をお手伝いすることになりました。

幸せのおすそ分けです。

それはいいことね。神様はきっと見ていてくださいますよ。
神様かぁ⋯⋯私は教会行かないから、神様ってよくわからないんだけど、どんな人なの?
アタシも教会行き始めたのはメイド長さんの養子になってからだからなー。

よくわかんないのは私も同じ。

メイド長さんは神様って会ったことあるんですか?

神様はお空の上の国にいらっしゃるからねぇ。私もまだ会ったことはないよ。
メイド長さんも会ったことはないんですね……。
うふふ、私からは神様は見えないけれど、神様は私たちのことを今も見ていますよ。

ええっ、今もですか!?

そんな、私、全然気づかなかった!

えー、神様ってそんなに目がいいんですか?

アタシも視力には自信あるほうなんですけど……さすがにここから神様は見えないなぁ……。

カーレンにもそのうちわかる日がくるわよ。

――さて、もう夕方なのに、アプルちゃんをあんまりお引止めしても悪いわねぇ。

それもそうですね。

じゃ、アプル、また明日!

うん、またね!
カーレンとメイド長のおばあさんは、お屋敷の門をくぐり、帰っていきました。
さーて、私たちも帰ろっと。

そうですね。日が落ちて暗くなったら大変です。

アプルのことですから、あたりを照らす魔法の加減をまちがえて、ホウキを燃やしかねません。

あーっ! 言ったな!
事実ですから。

うー……嘘がつけない友達っていうのも、こういうのが困りものよね。

騙されたりはしないから安心ではあるんだけれど……。

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登場人物紹介

【アプル】
ワンダーランドの片隅で暮らしている、りんごの魔女。
世界で二番目にかわいいけど、魔法の腕前はイマイチ。
かわいいことを生かして、自分らしくキラキラ輝きたいから、アイドルを目指します!

【ミスター・ミラー】

ホワイト城の物置きにあった、しゃべる魔法の鏡。

アプルにアイドルという存在を教え、

その後も時折アドバイスを伝える。

【カーレン】

赤いくつをはいた、ダンスが好きな少女。

両親を亡くしているが、ちょっとしたきっかけでメイド長の養子になる。

振付師としてアプルを支える。

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