次のライブに向けて

文字数 1,050文字

お城のパーティから、そして初めてのライブから、しばらくの時が流れました。

アプルはあれから、何度かライブをしましたが。しかし。

うーん、なんだかだんだん、ライブに来てくれるファンが減ってる気がする……。

最初のうちは珍しくて来てくれた人も、毎回同じでは飽きて来ますからね……。

やはり毎回、前回より良いライブをするということが重要かと。

そっかぁ。アイドルって楽じゃないのね。
やめたくなりましたか?
ううん。お仕事が大変なのは当たり前だもの。むしろ燃えてきた!
ふふふ、さすがアプルです。
うーん、でも前回よりいいライブって、具体的にどうすればいいのかなぁ?
さて、私もそこまでは。
何よー。無責任ねー。
そう言われましても……。

うーん……とは言っても、家で悩んでてなんとかなる問題じゃないよね。

でもだからと言って、この辺をうろついてて何かあるとは思えないし。

そうですね。やはり新しいアイデアを思いつくには、シゲキが重要ではないでしょうか。

シゲキかぁ。大きい街に行ったほうがいいってこと?

この辺で大きい街っていうと、城下町だよね。

うーん……あの王様に会っちゃったらちょっとイヤだけど。

でもここでずっとこうして悩んでるわけにもいかないし。行こう行こう!

よーし、いろんなものを見て回るために、動きやすい服に着替えないと!

それから数時間ののち。アプルはホウキで、城下町に降り立ちました。

うーん、とってもにぎやかで、立ってるだけでわくわくしちゃう!

この間はパーティに直行しちゃったから、ゆっくり見られなかったのよね。

今日はじっくり楽しむぞー!

ふふふ、楽しそうで何よりです。

ですが、くれぐれも当初の目的を忘れないでくださいね。

むっ。わかってるってば。

さーて、気を取り直してっと。

お洋服屋さんにアクセサリー屋さん、とってもかわいいスイーツショップもあるー!

……本当に大丈夫でしょうか。
あれ? このお店は何かなぁ。商品が出てないみたいだけど……。
アプル。そこはお店ではなくて教会ですよ。
うぇっ!? 教会!?
ほら、屋根に十字架が置いてあります。
あー。屋根まで見てなかったわ。私、教会って苦手なのよね。

魔女だからですか?

しかし、魔女狩りはもう何百年も前に禁止されて、今どき魔女を差別する教会もないでしょうに。

わかってはいるけど、怖いものは怖いの。

魔女じゃない人だって、本当に襲われないってわかっててもお化け屋敷が苦手な人はいるでしょ。

ふむ、そんなものでしょうか。
その時、教会のドアが開いて、アプルにぶつかりました。
痛っ!
あっ、ごめんなさい!
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登場人物紹介

【アプル】
ワンダーランドの片隅で暮らしている、りんごの魔女。
世界で二番目にかわいいけど、魔法の腕前はイマイチ。
かわいいことを生かして、自分らしくキラキラ輝きたいから、アイドルを目指します!

【ミスター・ミラー】

ホワイト城の物置きにあった、しゃべる魔法の鏡。

アプルにアイドルという存在を教え、

その後も時折アドバイスを伝える。

【カーレン】

赤いくつをはいた、ダンスが好きな少女。

両親を亡くしているが、ちょっとしたきっかけでメイド長の養子になる。

振付師としてアプルを支える。

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