第24話 揺頭族の女 

文字数 743文字

○東京台東区、場末のスーパー「激安西郷さん」の新規採用面接室
それでは、次の方〜。

李さーん。李玉姫さーん。

やや、疲れ気味の採用担当者西郷。
はじめまして。

リーユーチェンです。

宜しくお願いします。

声が綺麗な応募者、李玉姫。

はじめまして、店長の西郷です。

..,,,,

えーと、履歴書を拝見しました。

御出身は、中国の北京市内。

はい。

中国の一級市民ですよ。

(一級でも二級でもどっちでもいいわい。日本酒の等級じゃあるまいし)

えーと、現在はお茶汲み女子大に留学中と…

国立大学だから、優秀じゃないですか。

偏差値は、73あります。

(ワタシって、優秀な中国女子)

そんな優秀な李さんが、何でウチみたいな場末の激安スーパーなんかに?

仕事はレジ打ちと帳簿付けですよ。

家庭教師のバイトをしていたんですが、親がコロナ時短で自宅待機になって、ワタシの仕事も連鎖的に減ったんです。
(なるほど、コロナ禍が家庭教師の仕事にまで影響したのか。まるで、食物連鎖だな)

なぜ、日本を留学先に選んだのかな?

ワタシ、日本の文化に興味があって。

もっと深く知りたいから、お茶汲み女子大を留学先に選びました。

それはいいことだね。

じゃ、何か自分をアピールできる特技はありますか?

特技といえるか、どうか…

つたない一芸なんですけど。

突如、頭を円形に激しく振り回す李さん。
パサッ、パサパサ。

イエイッ!

コホン、ゴホっ。

まさか、李さん。中国の揺頭族じゃないでしょうね。

(西洋ロックにかぶれたクラブ好きだな)

いえ、これは連獅子なんです。

こんな芸じゃ駄目ですよね。

うーむ..¥¥¥¥…採用しましょう。

年末年始の店頭ライブパフォーマンスに役立ちそうだ。


ハオ!

それじゃ、西郷さんも一緒にやってくれませんか。

連獅子。

嬉しそうな李さん。
わたしは、やりません。

(キッパリ)

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