第17話 マムシな奴

文字数 642文字

○東京上野、場末のスーパー「美濃屋」のアルバイト面接
(採用担当者)では、次の方〜、斎藤銅山さーん。どうぞ。
はじめまして、斎藤銅山です。
えーっと、経歴を見させていただきましたが、都内のとってつけたような五流大学をご卒業されて、見掛け倒しIT企業に入社後に半年で退社、以降は職場を転々、現在38才と。
はいっ、森羅万象を友にし上は天文、下は地理、実社会を師父として諸国を漫遊しておりました。
竹中半兵衛かと言いたいところですけど単に堪え性がありませんね。ところでガソリンスタンドは一年半勤められましたが、これは何か?
一介の油売りから身を起こし、いずれはトキゲンジの名を借りて、この美濃一国を手中に治めたい所存!
まあ、このコロナ禍で人が減りましたからね、まじめに二年位勤められれば、正社員になれますよ。
この銅山っ、今は足軽として馬鹿にされていようが、いずれは美濃のマムシとして世間に恐れられる存在となる!
ちょうど良かった。明日からマムシ健康ドリンクとマスクをセットにしてワンコインで売り出そうと思っていた所だ。採用しますから、明日からフットワーク軽快にお願いしますよ。
ワシは将来尾張と組んで、上洛した暁には天下に号令をかける!
尾張屋さんは商売仇なので、手は組みません。それに採用されても向こう半年間は有給は有りませんので、この非常事態宣言下で勝手に京都に旅行に行かないで下さい。ただでさえ時短自粛を求められているんですから。
はーい、どうもすいません。明日からマムシドリンク売って地道にやります。
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