第18話 幕末な奴
文字数 786文字
○東京お台場、場末のスーパー「勝屋」アルバイト面接 2:00pm
（採用担当者）では、次の方〜っ。坂元さん。坂元両馬さ〜ん。
お初にお目にかかるぜよ。坂元両馬です。
（初対面にしちゃ、態度がぞんざいだが）
今回は、夜勤の募集ということで...
日本の夜明けは近いぜよっ！
どっどーん！（土用波の効果音）
夜明けまでまだあるし、まだ昼下がりだし。なんですか、今の波みたいな音は突然。
九十九里浜の土用波の音を携帯に入れて流してみました。インパクトがあるかなって。
そんなことしなくていいです。心臓に悪い。
えーっと、経歴を見ますと高知県のお生まれで、地元のNPO「尊王攘夷」に御就職、その後諸国を転々と...
この「尊王攘夷」って、何ですか？
はいっ。有志たちがバイクに跨り、国道を爆走して世を正す活動をしていました。
一見、暴走族にしか見えませんけどね。仕事なんですかね。
ウチは、生肉業からスーパーに転身したんでトンカツなどの惣菜が売りなんですよ。
おおっ、ではそのカツ先生の一門に是非っ！
言ってることがいちいち大袈裟なんだよね。まあ、入れてあげますよ。まだ若いし、イキが良さそうなんでね。
何か、ウチで他にやりたいことはありますか？
この乱れた日の本がひとつになるには、長州と薩摩がひとつにならねばっ！
そりゃー、ちょうどいいや。鹿児島産の黒豚トンカツだけじゃなくて、山口県産のふぐちりセットもやろうとしてたところだ。キミは、魚をおろせる？
カツオのタタキなら少々。
キミ、いけるねえ。ほかにやりたいことは？
お台場に砲台を築くっ！
おっ！アイスクリームの出店ね、これから暑くなるから流行るだろうね。キミ、明日からさっそく来てくれるか。なかなかのアイデアマンだよ。
日本の夜明けは近いぜよっ！
どっどーん！（土用波の効果音）
その土用波の効果音はいらない。ウチには年配者の従業員もいるから、心臓に悪いや。
気をつけます。
