第12話 右に傾いてます

文字数 564文字

養豚製品のトンキホーテに派遣社員がやって来た。

○面接室にて

(Mgr)葉兼さーん、派遣会社「ハーケンクローニン」からいらっしゃってる方どうぞ。
ハイル、雇用主!
挨拶の仕方が変わってらっしゃる。目の色が多少変わっていますが、ハーフの方?
はい、ドイツと日本のハーフです。
弊社トンキホーテは、ハムソーセージの燻製で近年売り上げを伸ばしてきた会社ですが、うちの会社で働いてもらうに当たって特に希望すること、言っておきたいことはございますか?
はいっ、雇用主の親衛隊を組織して、社内の反動分子はガス室に連行します。ハイル、雇用主!
うーん、組合の連中が聴いたら暴動を起こしそうな危険思想の持主ですね。ガス室は社内にはありませんし、あれは燻製室なんですよ。
分かりました。では、反動分子を隔離する為に社内にコンクリートの壁を作ります。
そんなベルリンの壁みたいなのは要りません。うちはね、外国人のリピーターも増えてきましたので、そういう第二次世界大戦の悪夢を彷彿とさせる危険思想は捨ててもらえますか?でないと、ハーケンクローニンさんとの契約は打ち切りにさせてもらいますからね。
分かりました、残念ですがヤルタ協定と、ポツダム宣言を受諾します。
言ってることがいちいち大袈裟ですけどね、分かってくれればそれでいいです。明日から頑張って下さい。
ハーイ、Mgr。
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