第40話 懐かしの建物を探偵しましたのぢゃ!【1】

文字数 751文字

【1】

 儂が、極めつきの懐古趣味者であることは、もうすでに皆の衆もご承知のことと存じますがの、古書店なんぞを営んでおりますとな、その懐古趣味にも拍車がかかる訳でございますのぢゃ。

 儂しゃ、黒澤明の映画が好きでしてな、そのほとんどを観ておりますがの、それと同じくらいに、小津安二郎の映画も好きで、やはりほとんどの作品を観ておりますのぢゃ。

 小津の映画は簡単に言えば、終戦後の東京や鎌倉に住まう小市民家族が繰り広げるファミリードラマでしてな、そのストーリーにもドラマにも、たいしたクライマックスはなく、淡々と始まって淡々と終わる映画なのぢゃが、その「白黒の静かな映画」には、得も言われぬ趣きと味わいがあるのぢゃな。

 で、その小津映画の趣きと味わいを演出しておるのが、映画の舞台となっておる、戦後の都市生活者たちが(つつ)ましく住まう和風家屋なのぢゃよ。

 古民家ブームの昨今ですがの、儂が好むのは、田舎家の大きなお屋敷ではなく、町場や郊外の住宅地にある、こじんまりした和風家屋なのぢゃ。

 小津の映画を観ながら、「ああ、こんなレトロな町家で、孤独で静かに小綺麗に暮らせたらどんなによかろう……」などと夢想したりするのぢゃ。
 まあ、儂の古書店もかなりレトロな町家なのぢゃが、ただ古いだけで風情も趣きもないボロ物件なのぢゃ。

 で、話は変わりますがの、先日、風呂上がりに何気なくテレビをつけたら、BSの「街中華で飲ろうぜ」をやっておりましてな、出演者の筋太郎氏がTBS社屋の前で何事かを語っておりました。

 「あ、TBSか、懐かし〜」と思った儂は、ふと気になることを思い出し、赤坂に関わる事柄について検索してみたらば、「えっ! マ、マジか?」と、「あっ!と驚くタメゴロウ〜」的な、儂的に驚くべき事実を知ってしまったのぢゃよ。
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