第50話 「別班」を若干探偵いたしますのぢゃ!

文字数 1,149文字

 またまたシリーズの途中で申し訳ございませぬが、ショート探偵でございますのぢゃ。

 最近、儂の店で珍しく売り切れた商品がありますのぢゃ。
 えっ? 儂が何の商売をしておるかって?
 いやいや、儂が古書店「懲無書林」の主人であることを、皆の衆はとっくにお忘れのようですのう。

 元来、古書店には同じ本が何冊も書棚に並んでおることは稀なのですがな、その書籍は儂の店に3冊もあったのですぢゃ。
 2冊は買い取って、1冊は儂が読みたくてネットで買って読んで、つまらんかったから店に下ろしたものぢゃ。

 それは、『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』と云う、長々しいタイトルの新書なのぢゃがな、8月に入ってから立て続けに3冊も売れてしまいましてのう、「こりゃ、珍しいことぢゃわい」と思うておりましたらば、これどうやら、テレビドラマの影響であるらしいことが判明いたしましたのぢゃ。 
 
 儂の家内の唯一の趣味が、テレビドラマ鑑賞でしてな、民放のドラマはほとんど録画しておりますのぢゃよ。
 儂しゃ、家内のドラマのライブラリーなんぞほとんど見やせんのですがな、先日たまたま、家内が録画を鑑賞しておるところに居合わせましてな、そのドラマを見るともなしに見ておったのですがな、次第にですな、その息をもつかせぬアクション連続のドラマに引き込まれていきましてな、「おっ!こりゃ、一味違う違うわい」と、見入ってしまいましたのぢゃ。

 その『VIVANT』と云うドラマは、最近の民放ドラマには珍しく、大掛かりな海外ロケをするほどお金はかかってるし、なかなか手の込んだストーリーだし、直近の4回まで一気に鑑賞してしまいましたのぢゃ。

 で、そのドラマの題名『VIVANT』が、「別班」ダブル・ミーニングのことでして、ストーリーの重要なキーポイントとなっておるのですな。
 そのドラマの影響で、儂の店の『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』が売り切れてしまった訳ですな。

 先ほど儂は、この本を「つまらんので店に下げてしまった」と言いましたがの、たしかに、ドラマで取り上げられて興味をそそられるほどには面白くなかったのですぢゃ。

 本の前半は、「別班」と云う自衛隊の秘密謀略組織の存在を明らかにする取材がいかに大変だったか、と云う苦心談がほとんどでしたし、肝心の本題では、「ニュースソースは明かせないが、これは真実だ」みたいな論調でしたし、「別班」についても、期待したほどの「知られざる真実」は書かれてなかったような気がいたしましたのう……。

 あれ、もう1000文字を超えてしまいましたわい。
 「懐かしの建物」シリーズもまだ終わっておりませんのでな、この探偵は単発にしようと思っておったのですがな、これも続き物となってしまいそうですわい。





ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み