第15話 現代の不思議を探偵しましたのぢゃ!【4】

文字数 1,111文字

【4】

 前回は、90年ほど前に活躍した、アメリカのSF作家ラヴクラフトを紹介したのぢゃが、彼のような斬新かつ先進的な作家でも、その作品の中にはスペースシップ (宇宙船)なるものは、皆目登場せんのぢゃよ。

 その時代には、宇宙船という概念は無かったし、ましてや、宇宙船が“空飛ぶ円盤”だという概念なんて、地球上の誰一人持っておらんぢゃった。

 “空飛ぶ円盤”なる言葉や概念が世界に広まったのは、1947年にアメリカで起こった、 “ケネス・アーノルド事件”が発端ぢゃったそうな。

 実業家のケネス・アーノルドが自家用セスナを操縦していたとき、自分の飛行機の前を飛んでいる、9個の円盤型の飛行物体を発見したのぢゃと。
 別に写真などの証拠もないのに、マスコミが大々的に報道して、あっと云う間に全米に広まったのは、その空域で同じような目撃例が続いたかららしいの。
 日本は昭和22年だから、終戦直後のことなのぢゃな。ふむ。

 その頃の、飛行物体の呼び方は、まだ“UFO”ではなく、“フライング・ソーサー”(空飛ぶ皿)と呼ばれていたのぢゃ。
 その後、全米各地で謎の飛行物体が発見されるようになったので、アメリカ空軍が“プロジェクト・ブルーブック”と云う調査プロジェクトを立ち上げ、そこで初めて、“UFO”(アンアイデンティファイド・フライング・オブジェクト)と総称されるようになったのぢゃな。

 その頃でも、“UFO”が「 宇宙からやってきた宇宙船」と云う概念はまだ無くて、冷戦の最中、多くのアメリカ国民は、「UFOはソ連の新型兵器ではないか?」と云う見方が多かったのぢゃ。

 で、「UFOは、宇宙人の乗る宇宙船である」と唱えたのは一体誰かと云うと……、ドナルド・キーホーと云う、今ではほとんど知る人もいないようなSF作家なのぢゃよ。

 この作家が、ケネス・アーノルド事件の3年後に出版した、『空飛ぶ円盤は存在する』と云うペーパーバックに書いた内容が、「空飛ぶ円盤は、遠い宇宙にある地球より進歩した文明から、宇宙人を乗せて地球にやって来るのだ」 と云うことだったのぢゃ。

 しかし、この内容にはなんの根拠も無くて、ただ単にキーホーの主観的な想像だけの産物なのぢゃが、この本が50万部の大ヒットとなり、それ以降、“UFO”=スペースシップ(宇宙人の乗り物)という概念が定着し、アメリカから全世界に広まったのぢゃな。

 そして今では、“UFO”と云えば、カップ焼きそばか、“宇宙人の乗り物”だと大多数の人が認識している訳ぢゃよ。

 あっ! カラータイマーがピコピコしてきましたのぢゃ!
 この話、もう少し続きますのぢゃ!
 皆の衆、では、また次回!
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