第46話 懐かしの建物を探偵しましたのぢゃ!【7】

文字数 612文字

【7】

 それによりますとな、2017年の知恵袋の質問に対して、

「数年前までは、白髪のお婆さんが独り暮らししておられましたよ」

 と云う回答があったり、

「お婆さんが施設に入ってからは空き家のようです」

 と更に詳しい回答があったり、
 「赤坂の住人」ですと云う方からは、

「あの家の方は、だいぶ昔には商店街で魚屋さんをやっていらしたのです」

 と云う、かなりディープな情報もありましたのぢゃ。

 儂が30年前に目撃した、庭の植栽に水遣りしていたお爺さんは、もとは魚屋さんだったのぢゃな……。
 あの赤坂通りに魚屋さんがあったなんて、昭和30年から40年代のことなんぢゃろうのう……。

 そして、そのお爺さんが亡くなって、20年ほどは白髪のお婆さんが独り暮らしをしていた訳ぢゃな。

 赤坂通りはどんどん変わっていったのに、あの家とその住人の時間は止まっておったのぢゃろうな……。

 儂も老境に足を踏み込みましてな、「赤坂の七不思議屋敷」の、そんな短い短いショート・ストーリーが、なぜかしらジーンと胸に染みますのぢゃ。

 しかし、あの家の隣がマックになっていたなんて、儂しゃ驚きですわい。
 つーか2009年時点で、既にマックがあったんだもんね。
 少なくとも10年以上は営業しとるんぢゃな。

 儂の記憶では、「赤坂の七不思議屋敷」の交差点の筋向かいに、今は亡きファースト・キッチンがあったはずですわい……。
 30年前をしみじみと思い出しておる儂ですのぢゃ。
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