恐怖のプノンペン名物

文字数 817文字

私はあまり飲めないほうなのですが、中田さんはかなりいける口で軍人さん達と一緒になってがんがん飲んでおりました。
もっとも、一応私はボディガードなので酔っ払うわけにはいかないのですが・・・。

カンボジアに来てから3日間はまったく遊ばずに仕事だけしていたのですから、最後の夜の打ち上げとしては悪くない宴会だったでしょう。

そして夜中過ぎ。約束通り軍人さんのクルマでホテルまで送ってもらうことになりました。
夜のプノンペンは意外に歩いている人も多く、思っていたほど治安は悪くないのではと感じました。

クルマは無事に私たちの宿泊している安ホテルの前に到着。

「どうもありがとうございます。今日は本当に楽しかったです」と中田さん。

「いやあ、私達も日本人と一緒に飲めてたのしかったよ。またこっちに来たらぜひ一緒に飲みましょう」
そういったありがちな会話をかわした後、彼らのクルマを見送ります


「さあ、これでカンボジアでの仕事は全部おわりです。ごくろうさまでした」

「おつかれさまです。しかし僕なんかいてもいなくても一緒だったんじゃないですか?」

「いやいや。やっぱり一緒にいてもらって心強かったですよ。さあ部屋にもどってゆっくり休んで明日はいよいよバンコクに帰れますから」

本当に危険な状況というのはえてしてこういう安心しきっているときにやって来るものの様です。


さて、このホテルは入り口から暗い階段を二階まで上ったところにレセプションがあります。

つまりそこからがホテル。私たちはまだ外にいるということをすっかり失念していました。

・・・・夜間の外出は避けてください・・・大使館からのアドバイスを完全に破っていることにまだ気づいていませんでした。


そしてホテルの入り口から階段を上ろうとしたそのとき、暗い階段の陰から・・

ひとりの男が手にショットガンを持って・・・。


・・・うああっ!最後の最後に、ついに出くわしてしまった・・

これぞプノンペン名物。

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