中華料理と美少女カフェ

文字数 2,317文字

任務完了したのにまだ続くのか?
・・・と、お思いの読者様もおられるでしょうが、まだしばらく続くのです。
よろしければもう少しお付き合いください。

さて、コロンボ・フォート駅から鉄道で最初に向かった先は、要塞都市としてユネスコ文化遺産にも登録されたゴールという街です。
なぜ、真っ先にこの街を目指したのか?と言いますと。

美味しい中華料理が食べたい!!

これでした。

私はスリランカに来てから数か月間、毎日とにかくカレーを食べていました。
いくらカレー好きとはいえ、たまには何か他のものも食べたい。

しかし、スリランカにあるウェスタンスタイルのレストランは、ほとんどがイギリス料理です。
これがニコラも言っておりましたように、値段は高いが味は酷い。

一度、ビーフステーキを注文したときは、これが水牛肉のステーキでナイフもフォークも通らない硬さ。
噛み切ることも困難な代物でした。これは肉ではなく革じゃないかと。
チャップリンが革靴を食べるあのシーンを思い出したほどです。

しかし古くから交易で栄えたゴールには、当然、中華街も存在するのです。

ビーチで休養する前にまずは中華街で美味しい中華!
これは非常に楽しみです。

ゴールは港にも旧要塞跡が残っており、とてもユニークな景色が魅力的な街ですが、そういうのはひとまず置いといて、まずは中華街に向かいます。

なかなか場所が分からなかったので、地元の人に尋ねますが、コロンボのようにカネを要求されることはありませんでした。

「これが中華街かあ・・・」

到着したのは数件の小さな中華料理店が並ぶ道路でした。
横浜中華街のようなものを期待していたわけじゃありませんが、ここまで規模が小さいとは。
少し・・いやかなりがっかりしましたが、それでも中華街です。
中華料理が食べられることには違いないでしょう。

私は適当に一軒のお店に入りました。
入口の脇にレジというか勘定場があり、ひとめで中国人とわかる太った親父が座っています。
さすが華僑です。現金は従業員に触らせない方針なのでしょう。

スリランカ人のウェイターに海鮮焼きそばを注文しました。
ひさしぶりにカレー以外の食事にありつける!心が躍ります。

そして運ばれてきた「焼きそば」は、我々のイメージするものとは少々違うものでした。

そばがスリランカの麵、インディアーッパのように細かく刻まれているのです。

ツルツルと食べられるものを期待していた私は少々がっかりしましたが、とにかくスプーンですくってそれを食べます。
・・・!!!

意外にイケます。というか、かなり美味い。
味はしっかり中華です。
もっとも久々の中華料理だったので、実際以上に美味しく感じたのかもしれませんが。

満足して店を出て、ブラブラと街歩きを楽しむと、スリランカでは初めて見るタイプのお店を発見しました。

アメリカンスタイルのカフェレストランです!これは入らねば。

"CEYLON DELI CABIN”という看板を上げた、わりと広い店内に入ると、20人ほどのウェイトレスが出迎えてくれます。
・・・これは、驚きだ!

何が驚きかというと、当時のスリランカでは一般に女性のサービス業は売春しかないといってよいほどでした。
なので当然、ウェイトレスという職業が存在しないのです。

しかしこの店には、アメリカのドライブインやダイナーのウェイトレスのようなユニフォームに身を包んだ若い娘たちが20人も!(そのユニフォームがみんな似合っていて、とてもカワイイ!)

メニューはピザ、ハンバーガー、ドーナツなど。飲み物はコーラやアイスコーヒーもあります。
私は昼食を済ませたばかりでしたが、ハンバーガーとアイスコーヒーを注文しました。

男性読者の皆さんに、この"CEYLON DELI CABIN”がどれほど素晴らしい天国だったかをお伝えしたいです。

まず冷房が効いている。ハンバーガーはちゃんとハンバーガーだ。
いや、そんなことよりなにより。

ハンバーガーを頬張る私の目の前で、美しいウェイトレスが数名、ニコニコ微笑みかけたり、テーブルに頬杖ついて私を見つめているのですよ!

何度も書いていますが、スリランカの女性は美人はデフォルトです。
店内のウェイトレスは全員がすごい美少女たち。
それがかわいいユニフォームを着て、珍しい日本人男性客である私に興味を持ってくれているのです。
かといって別にサービス料が加算されるわけではありません。

スリランカの若い女性はそれは美しくカワイイのですが、仲良くなったり会話できる機会はほとんどありませんでした。
そんな彼女たちと、おしゃべりできただけでも、ゴールに来た甲斐がありました。

後に日本でメイドカフェなるものが流行ったとき、私はこの"CEYLON DELI CABIN”を思い出しました。
あれはまさにメイドカフェの先駆けだったなあ・・・メイドではなかったけど。

私はゴールの街はサラリと流して、すぐにビーチ方面に向かうつもりでしたが、すっかりここが気に入ってしまい数日を過ごすことになりました。

もちろん、毎日中華を食べて、毎日女の子たちとおしゃべりです。
この調子だと私は結局、ビーチに行くことはなかったかもしれません。

しかしゴールでのある出会いで、私はここを去ることにしたのです。
今までのパターンでまた、何か殺伐とした展開とか思ってるでしょ?

ところがビーチ方面の旅は一味違います。

恥ずかしながら、私は・・激しい恋に落ちたのです。
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