第14話 二人だけの世界がすべて

文字数 649文字

門田くんもSNSやってるんでしょ?
うん
それで相互フォロー?
うん
じゃあやっぱり僕とチャットしてる場合じゃないって
それはそれ、これはこれだよ
 もちろん門田のSNSはチェックしているし、イイネもするが、西原とのチャットはまた別だ。
それなら本屋に行くときも、そんな話をすればいいんじゃない?
 突然話が元に戻った。
そうか
そうだよ
もしかして、そろそろ話を終わらせようとしてる?
そんなことないよ。なんで?
なんか投げやりになってきた気が
だって、わざわざ僕に聞かなくても、話すことたくさんありそうだから
妬いてる?
言ってる意味がわからない

 門田とどんなふうに接すればいいのか模索中なのは事実だし、アドバイスがほしいのも事実だ。それと同時に、西原とチャットがしたいのも。

 

 門田のことも、西原のことも好きなのだ。自分でも気持ちを持て余している。

お前の彼氏はSNSやってないの?
やってないんじゃないかな

「かな」って、聞いたことないのか?


やってれば教えてくれるはずだもん
二人とも恋人に夢中でSNSどころじゃないってわけか
そうだね
それでやりまくってるってわけか
そうだね
だから、そこは一応否定しろって
僕は正直だから
はいはい。今日から二人のことをUMAカップルって呼ぶよ

 SNSにはラブラブぶりをアピールするカップルがあふれているが、西原と恋人は、そんなことなど必要ないくらい、二人だけの世界に浸り切っているのだ。

 本当に強く深く愛し合っていれば、周りのことなど目に入らないし、気にもならないのだろう。俺も、そんなふうになりたい。

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