第16話 きっと西原は泣いているに違いない
文字数 682文字
SNSのアカウントを教えてほしいと言われたので、さすがの西原もようやくアカウントくらいは作る気になったのかと思ったのだが、いくら待っても音沙汰がないのでメッセージを送った。
だが、時間がたっても既読にすらならない。返信があったのは、何日もたってからだった。
もう俺のことなんてどうでもよくなったのか。そう思って落ち込んでいた俺は、秒速で返信する。
西原の恋人は料理人なのだ。
え? 部屋に泊まり込んでかいがいしく恋人の世話を焼いていたのかと思ったのだが。
西原の母親は、二人の関係を認めているらしいが、多分、恋人の母親は何も知らないのだろう。それが普通だ。
それきり返信が来ない。
それは辛いだろう。
泣き虫の西原は、こうしている今も涙をこぼしているかもしれない。
もっと気の利いたことが言えればいいのだが。
それに、西原が恋人を思う気持ちが真剣だということは、俺がよくわかっている。