第5話 かつて無理矢理唇を奪って泣かせたこと
文字数 561文字
最初で最後のデートのとき、夜の川沿いのベンチで、俺は西原に恋人の話を聞かせてほしいと言った。二人の幸せな話を聞いて、それで彼のことを諦めるつもりだったのだ。
だが、恋人の心が自分だけのものにならないことに悩み、涙をこぼす西原を見て、我慢出来なくなった俺は、彼の華奢な肩を掴んで無理矢理キスをした。舌を差し入れた俺を思い切り突き飛ばし、なおも泣き続ける彼を見て、ひどく後悔したのだった。
正解。
それはそうだが、ファーストキスでもあるまいし、その前から、彼氏とはもっとイヤラシイことを何度もしていたはずだ。彼の甘く柔らかい舌の感触を思い出しながら、俺は送信する。
西原の返信に、夜更けの部屋で、俺は一人赤面した。