第11話 生野の目に映る西原

文字数 561文字

しょうがないな
 西原にせがまれると断れない。俺は観念して、自作のイラストの画像を送信した。
すごいじゃん
そうか?
これって、もしかして門田くん?
違う
そうか、モデルはいないのか
いや、いる。お前
え。僕ってこんな感じ?
うん。泣き顔がかわいかったから、思い出しながら描いた
 なかなか返信が来ない。
怒った?
怒ってないけど、生野には、僕ってこんなふうに見えてるの?
デフォルメはしてるけど
ふうん
気に入らないか?
 俺自身は、よく描けたと思って、けっこう気に入っているのだが。
別に。生野がいいなら
 やっぱり気に入らないらしい。
お前が見せろって言うから
だから別にいいって言ってるじゃない。僕はそんなパーカー持ってないけど
パーカーは俺の創作だけど、ごめん
謝らなくていいよ

 俺はため息をつく。恋の相談をしていたはずが、どんどん話が脱線した挙句、なぜか俺は西原の機嫌をそこね、あたふたしている。

 新しい恋に踏み出そうとしているはずなのに、やっぱり西原に嫌われたくない。たとえ、俺を好きになってくれるはずなどないとわかっていても。

これあげる
 落ち込んでいると、西原から画像が送られて来た。
僕が描いた生野だよ
今描いたのか?
うん。そっくりでしょう
どこが
 そう言いながらニヤけてしまう。やっぱり西原はかわいい。
これ、待ち受けにしようかな
それはやめたほうがいいよ
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