第20話 もちろん見せてくれるなら裸が見たいが寝顔も見たい

文字数 738文字

 これから、こんな画像がちょくちょく見られるのかと思うと、にやにやが止まらない。すると、西原からメッセージが来た。
生野も自撮り投稿してよ
俺は鍵付けてないから駄目だよ
みんなに見られるの恥ずかしいの?
当たり前だろ
僕にも?
そんなことはないけど、俺の顔なんか見たい?
うん
 え……。「うん」に込められた意味をあれこれと想像してドギマギしつつ、動揺を隠して送信する。
じゃあ、今度チャットアプリのほうでな
わかった

 え……。ずいぶんあっさり引き下がるんだな。

 ただの社交辞令だったのか。どうしてもと言われたら、DMで送るつもりだったのに……。

でも、お前はここにいろいろ投稿しろよ
投稿することなんてなんにもないよ
今みたいな自撮りでいいから
毎日おんなじ顔ばっかり?
それでもいいよ。なんなら裸でもいいけど
バカ
冗談だよ。同じ顔でいいから投稿しろよ。楽しみにしてるから
裸じゃなくていいの?
見せてくれるの?
見せないよ

 裸を見せるのは恋人だけか。まあ、それはそうだろう。

 でも、毎日西原の顔が見られるならうれしい。楽しみがひとつ増えた。


 にやにやしていると、メッセージが来た。

なや
 ……なや? 何かの略語か? それとも、悩みの「なや」なのか?
どうした?
ごめん。くしゃみしたときに、知らない間に送信してた
 そういうことか。
風呂上りか?
うん
風邪引くといけないから、そろそろ終わりにするか
ベッドに入るから大丈夫だよ
そうか

 布団にもぐってスマホを操作している西原の姿を想像して、またも俺はにやにやする。

 だが、それきりメッセージは途絶えた。

おーい
 ……。
寝ちゃったのか?

 返信はない。やはり寝てしまったのだろう。ベッドに入るなり寝落ちするなんて子供か。

 だが、その寝顔はめちゃめちゃかわいいに違いない。見たい……。

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