第1話 横恋慕して振られた相手にメッセージを送る 

文字数 603文字

 その夜俺は、いつかの明け方ファミレス前で別れて以来、初めて西原にメッセージを送った。

 彼氏といちゃついている最中だったら申し訳ないと思ったが、そんなときに、スマホなんかチェックしないだろうと思い直す。

 西原は、転校する前、俺が横恋慕して振られた相手だ。

彼氏じゃなくてごめん。てか、今彼氏と一緒だったらごめん。名古屋の伯母さんのうちに引っ越して、今日、新しい学校に行って来た
 すると、すぐに返信が来た。
今、自分の部屋で一人だよ。学校はどんな感じ?
共学で、ガラが悪そうなやつが多くて最初はびびったけど、意外と楽しいかも
そうか、よかったね。友達は出来そう?
それが、実は……
「……」って何? 思わせぶり
実は、めっちゃタイプのやつがいた
 変わり身が早過ぎて恥ずかしいが、きっと西原も安心するのではないかと思い、一気に打ち込んだ後、逡巡する前に送信ボタンをタップした。すぐに返信が来た。

おめでとう! 生野の優しさと繊細さをわかってくれる人だといいな。


 なんだよ、偉そうに。そう思いながらも、俺はにやける。
ありがとう。西原は、彼氏とうまくいってる?
バッチリ!!

 「!」二つかよ。ちぇっ。俺のおかげもあるんだから、少しは感謝しろよな。

 面白くもないが、俺が余計なおせっかいを焼いたせいで、二人の仲は、以前にも増して深まったのだ。

 

 それから二、三往復やり取りした後、「おやすみ」を言い合って、俺はスマートフォンを置いた。

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