第13話 普通じゃない彼と普通がわからない俺

文字数 530文字

 特に機嫌をそこねたふうでもなく、すぐに返信が来た。
本屋って、門田くんのほうから誘って来たの?
うん
連絡先もむこうから交換しようって言ったんだよね
うん
いい感じじゃん。脈ありかも
簡単に言うなよ。連絡先を交換するくらい普通だし
休みの日に一緒に本屋に行くのも?
自分の大好きな小説のよさをわかってもらいたいだけなんじゃないのか?
それはあるかも
 ちぇっ。そこは全力で否定してもらいたかったのに。
そのとき、どんなふうにすればいいかな
普通でいいんじゃない
普通って?

 それがよくわからないのだ。好きな相手の前だと、つい力んでおかしな感じになってしまう。

 それで西原にもいやがられた過去がある。

学校では、どんな話してるの?
授業のこととかSNSのこととか
生野って、SNSやってるの?
うん
知らなかった!
普通だろ
僕はやってない
それって今どきUMAなみにめずらしいぞ。やっぱりお前って変わってるな
 西原は、出会った頃から周りを気にすることなくマイペースで自由で、それが、俺の目にはとても新鮮に映った。
だって興味ないもん
おまえの興味は彼氏だけか
うん
そこは一応否定するところだぞ
だってホントなんだもん
 この期に及んで西原の恋人がうらやましいと思ってしまう俺。そして、また話が脱線している……。
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