1曲 おお、運命の女神

文字数 1,546文字

いよいよ、第一曲目が始まります。

まずは、こちらの画像をご覧下さい。

(と言いつつ、ピンボケすみません)

真ん中に、丸いものがあるぞ。車輪か?
タロットカードでも、運命の輪というのを見たことがあるよ。

それから、まわりの角ばっている枠は、もしかして十字架かな?

そう、二人とも大正解!

これが「運命の女神の車輪」と呼ばれている絵で、現在「カルミナ・ブラーナ」の巻頭ページを飾っています(元々は後ろのページだったのですが、18世紀に巻頭に持ってこられたようです)

着ている服が似てる…

もしかして、みんな同一人物?

そういう説もあるけど、一応真ん中で車輪を回しているのが、運命を司る女神とされているよ


周囲に四人の人物がいますね。

こっちは同一人物という見方が多いです。

車輪の左側から始まります。男は車輪の力をうまく利用し、権力の座に登ろうとしてるんだ!

ふ~ん。ガツガツした、嫌な奴だな。


で、上の青い部分は何?

冠をかぶって、玉座についてる!

ついに王様になったんだね!

そうだね。

でも車輪は回ってしまうのです。

右側ではどうなってる?

……早くも転落してる……
冠も転げ落ちちゃってるよ~
……となると、まさか、車輪の下は?
……圧死してる
そういうことだね~(喜)!

さあ、何という運命の変転でしょうか

そこ、喜ぶところか?

結構残酷だな、ウサギ。

でもこの絵、うまいこと世の中の動きを表現してるね

そうなの。

そしてこの絵の下の余白部分に、落書き(と言うには丁寧に書かれているんだけど)があります。

おそらく写字生が自作の詩を書いたものです。

彼が何を言っているのか、聞いてみましょう!(※歌詞は抜粋です)

おお、運命の女神(フォルトゥーナ)
まるで月のように、姿は変わりやすく
常に満ちゆき、あるいは欠けゆく
忌まわしき生きざまよ……
恐ろしく、はかない運命よ

お前は回る輪のようだ


悪しき状態のもとに

すこやかなる者を悩まし

思うがままに砕き去る

さあ今こそ

ためらわずに

竪琴を取り、歌え!

運命の車輪の下に

勇者が倒れたと

皆の者、おれとともに嘆くが良い!

参考:永野藤夫訳『全訳カルミナ・ブラーナ』筑摩書房ほか
オルフはこうした絵や詩にインスピレーションを受けて楽曲にしたんですね~。
中でも上記の詩を(ただの落書きなんだけどね)オルフは特に気に入ったようで、メインに取り上げました。

第1曲、第25曲(※同じ曲が繰り返されます)の「おお、運命の女神(フォルトゥーナ)よ」は『カルミナ・ブラーナ』の中でも最も有名です

オランダの動画です。激しく情熱的なこの曲のイメージを感じ取ってください!

序奏部は、重々しい大合唱から始まります。

その後は2分の3拍子の、一定のリズムが執拗に繰り返されます(オスティナート・リズムと言います)。オルフの作風がばっちり表れている部分です。

オーケストラも合唱団も、大編成だな

そう。これだけ大人数となると、音を合わせるのが大変らしいよ
この曲、けっこうあちこちで耳にするよ。

人気の曲なんだね

悪役プロレスラーの登場なんかにも使われるらしいよ。もちろんCMや映画でもたくさん使われています

お聞きになって分かる通り、この迫力は爆発音のように打ち鳴らされる打楽器によるところが大きいです。また合唱団がユニゾンで強烈な生命力を表現し、全体を引っ張っています。

どちらも大音量なので、バランスという意味ではちょっと難しそうだね。生で聴く機会があったら、全体の音を聴けそうな席を取るのがおすすめかも!

どうせS席だろ?

高え~んだよ。ったくよう

ま、「打楽器の音しか聞こえなかった~!」みたいなことになっても、それはそれで面白いから(笑)。

この曲は、いろんな楽しみ方があるのです

次回はもっと歌詞の内容に沿ったチャットノベルにしていきます。

またよろしくお願いしま~す

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