25曲 おお、運命の女神
文字数 2,808文字
最終曲を聴く前に、遍歴学生 について見てみましょう。何しろ「カルミナ・ブラーナ」の多くの原詩を作ったのは彼らですから!
まさにその通り。
大学に行ける若者は幸運だったに違いないけど、当時は十字軍の失敗や、教会の堕落など世情不安も多かったの。苦労して大学を出たって、待っているのは大変な就職難……となると彼らは絶望し、問題行動を起こしちゃうことも。
次第に彼らは放蕩無頼の遍歴学生(ゴリアール、ゴリアルド)と呼ばれるようになっていきます
下は15世紀のボローニャ大学の講義風景。初期にはキャンパスというものは存在せず、民家や教会で講義が行われていたようです
ここは森に囲まれた小さな村。
近くの町から、一人の遍歴学生がやってきます。今日はここでお祭りが開かれるので、憂さ晴らしに来たのです。
などと思っていたら、ちょうど向こうから花かごを持った娘がやってきます。
冷めた目をして、なかなか答えない娘。
だけど周囲はイチャついているカップルだらけ。
今日はお祭り。この土地で遊ばない奴はバカだ、と言わぬばかりの空気です。
すたすたと、娘は歩き去ってしまいます。
目的を果たせないまま、彼はむしゃくしゃして町へ戻ります。
そして今度は酒場へと繰り出します。
最初こそ若者は勝たせてもらえましたが、相手は玄人です。
状況はすぐに変わってきます。
急に冷たくなって清算を求める店の男。
急遽、居酒屋バイトで借金を返すことにした若者。
だけど悪いことばかりじゃありません。
その後、がむしゃらに勉強したら、成績優秀で学寮のトップになったのです。
そんなある日、あの娘が訪ねてきました。
というわけで、二人は交際をスタート。
若者は有頂天ですが、彼女は高価な物をねだるようになっていきます。
彼女を満足させたくて、怪しげなバイトにも手を出してしまう若者。
次第に大学をサボるようになり、お酒と賭博にものめり込んでいきます。
当然、成績はがた落ち。
しかも素行の悪さがたびたび問題となり……
ついに彼は退学となってしまいました。
神学者への道を断たれてしまったのです。
これでは故郷にも帰れません。
だけど彼女の正体は娼婦。他にも複数の男性を誘惑し、お金をだまし取っていたのです。
彼女が行方をくらまして、若者は愕然とします。
今になって、自分が何を失ったのかに気づきました。
こちらの動画も、日本語字幕が付いています。最後はこちらをご鑑賞ください。
ー完ー