2曲 運命の女神の痛手を

文字数 1,147文字

さてお次は第2曲か。
まだ「序」の部分なんだよな?
今度はガラッと雰囲気が変わったりして?
と思うでしょ?

ところが2曲でも、1曲の重厚な雰囲気がそのまま続くんだ。

「カルミナ・ブラーナ」は、いちいち聴衆の予想を覆すような構成になっています。そこが飽きさせず、面白いと感じさせるポイントかもね

単独の動画が見つからず、お手数をおかけします。

1曲から入っていますが、2.35~が2曲「運命の女神の痛手を」です。


グランドピアノが二台も使われます。

激しく戦闘的な、オーケストラと合唱のぶつかり合いです!

フォルトゥーナはローマ神話に登場する女神です。英語の「fortune」の語源とも言われ、まさに運命の車輪を司って、人々の運命を決定します
「運命の女神の痛手」は4分の2拍子の曲。

合唱部分はバスから始まり、テノール、ソプラノ、アルトの順で歌います。

これが三度繰り返されます。

聞いて!

中世の男女が、苦しみながら何か訴えているよ

以下、歌詞部分はラテン語の詩の美しさを重んじた翻訳者に敬意を捧げつつ、チャットノベル用にアレンジしていますのでご了承ください。
私、泣いちゃうわ

運命の女神の傷に


運命は私の思いに逆らって

かつて与えてくれた恵みを奪い取るから

本で読んだのは真実だった

前髪豊かなフォルトゥーナも

後ろには髪がないのだ

※フォルトゥーナは「チャンスは後から掴めない」ということを示すため、前髪しかなく後ろ髪がないとされています(絵画などではまとめ髪になっていることも)。
私は王座に得意になって座っていた

栄華の色とりどりな

花の冠を頭につけて

だが、どんなに幸せに、華やかだったにせよ

今じゃ栄光を奪われ、奈落の底に沈んでしまった

運命(フォルトゥーナ)の輪は回る

ある者はその下にさらされ

ある者は高きに昇る

いとも誇らかに

王は頂きに座っている


落ちぬよう、用心しろ

王妃ヘクーバすら墜落したのだから

参考:

ロンドン交響楽団『カルミナ・ブラーナ』解説(訳:石井歓)

永野藤夫訳『全訳カルミナ・ブラーナ』筑摩書房 ほか

あらら。今回も、皆さん不満気ですね~
まあ、運命を呪ってる歌だからな。絶望的な内容で当然だろ
ちなみに王妃ヘクーバは、エウリピデスの悲劇の主人公。トロイア王の王妃ですが、落城後に悲惨な運命をたどります。
もう一つ動画を上げておきます。
こちらは演奏に若干難ありですが、バレエ付きの公演なので選んでみました。ダンサーたちの身体の動きが、この曲のイメージを伝えてくれます。

オルフは身体表現も重んじていたので、バレエを伴っているのが完成形と言えるのかもしれません

バレエ動画ということで、さらにもう一つ~。

こちらは日本の新国立劇場のもの。オリジナルの物語に仕立てられています。

ダイジェストなので他の曲も入っていますが、踊りも演奏もハイレベルです

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