12曲 かつて私は湖水に住んでいた

文字数 1,061文字

さて今度の曲は、テノールによって歌われるよ。

「カルミナ・ブラーナ」唯一の、テノールの曲です。

古い時代を意識した、かなりハイトーンの曲なので「カウンターテノール」が歌うこともありますよ~

カウンターテノール

……成人男性歌手のパートの一つ。裏声(ファルセット)や頭声を使って、女声に相当する高音域を歌います。

バロック時代には、変声前に去勢された「カストラート」と呼ばれる歌手がいたんだよ。彼らの声は甘く野性的で、しかも官能的だったんだって。少年や女性には決して真似できないものだったと言われます

きょ、去勢~!?

ただ歌うために?

宦官っていろんな国にいたらしいけど……

やっぱり非人道的だよ~。身分の高い人が楽しむためにそんなことをするなんて

確かに残酷。手術で命を落とした少年も多かったと思われます。


それでもこの時代、カストラートになれば大スターになる道が開けたんだよ。

今はカウンターテノール等で「代用」されますが、どうしても声質が違うんだって

18世紀のカストラート歌手「ファルネッリ」は、3オクターヴ半の音域を持っていたと言われます。彼の美声と発声技術は驚異的であり、しばしば女性を失神させたとも。

スペイン王フェリペ5世はファルネッリ↓を毎晩寝室に呼び寄せ、歌わせました。

う~ん、そうか。ちょっと聞いてみたい気もするね。カストラートの声
え~、あそこをちょん切られるなんて死んでも嫌だ
ま、確かにテノールかカウンターテノールでいいよね
中性的な魅力を持った歌手が歌う、というわけだね。

どんな歌なのか、とにかく聞いてみましょう!

昔、私は湖に住んでいた

昔は私も美しい姿だった

白鳥だった時には

あわれな私よ!

今は黒く

激しくローストされている

焼き串は回る なおも回る

火葬の薪は 激しく燃えて 私を焼く

ちょうど今 給仕が近づいてくる

あわれな私よ!

今は黒く

激しくローストされている

今は盆の上に横たわり

逃げることもできない

ぎしぎしと鳴る人間の歯が見える

あわれな私よ!

今は黒く

激しくローストされている!

何だこりゃ。シュールな歌だな
厭世的だけど、ユーモアがあるね
下の二つの動画は、どちらもテノールによる歌です

(カウンターテノールの動画を探したんですが、見つからず。すみません)

またバレエの動画から。オペラ歌手の白鳥姿がちょっと滑稽(笑)ですが、面白いです。
日本語字幕を見たい方は、やはり小澤征爾版で!

31.10~。お手数をおかけしますが、歌の迫力はこちらの方がありますので、ぜひ。
ファゴットのソロが高音域で始まります。

ちょっと不気味さの漂う、奇怪な旋律です。

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