5曲 春のおとずれ

文字数 731文字

しかし。春だってのに、やけに暗い音楽ばっかりだな
この、そこはかとなく暗いイメージが、中世の神秘的な雰囲気と結びついているんじゃない?
そうだね。オルフの時代にはこれが「中世」のイメージだったの。


でも次の曲からは一気にハイテンションになっていくよ。

早速、見ていきましょう!

ごらん 楽しい

待ち焦がれた春が、喜びを取り戻す

深紅の色に 牧場は花盛り

太陽はすべてを楽しくする

さあ 悲しみよ 去れ!

寒さは逃げ もう春は

夏の乳房を吸っている

かわいそうなのは

生を、楽しまぬ男

気ままに、したいことをせぬ男

蜜のような 甘美なひととき

誇り 喜べ

愛神(キューピッド)の命じるまま

美男パリスに例えられるのを

誇り 喜べ

参考:

永野藤夫『全訳カルミナ・ブラーナ』ほか

かなり際どいセリフが飛び出してるが
こりゃ、完全に「やってる」最中の歌だね(笑)。

でも確かに、曲がグーンと明るくなってきた!

春たけなわ。

というか、もう初夏の陽気って感じだね。

恋をしない者は犯罪者と言わぬばかりの勢いです

でもさ。

禁欲の聖職者がこんな性的な内容を歌っていたなんて、ちょっと信じられないなあ。

いかにも上の人に怒られそうじゃん?

カルミナ・ブラーナには、より過激な性表現もあるけど(レイプなど)、それは若さゆえの虚勢を表現したものだったりすることも。暴力を肯定するわけじゃなくて、性欲を生命の源泉と前向きに捉えているようです。

また歌詞の内容は実際の出来事というより、空想の世界ではないかとも言われます。


いずれの詩歌も、その表現方法は格調高いものとなっています。やっぱり日常を離れた芸術なんだよ

再び小澤征爾版「カルミナ・ブラーナ」の動画です。

12.00~14.29あたりまでが、この曲の該当部分。日本語字幕が出るのがありがたい!

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