11曲 怒りに心収まらず

文字数 1,153文字

ここから、切れ目なく第二部に入るんだね?
そうでーす!

酒場にて、と題されてるよ。

第一部は愛らしい、神秘的な曲も多かったですが、この第二部は男たちが勝手なことをしゃべっているイメージ。

こちらの画像は、フォリオ89v(89枚目の羊皮紙の裏面)。細長い挿絵がありますね。

左側三人の男は、お酒を楽しんでいます。

右側の一人はミサの真似事をしているのがお分かり頂けるでしょうか(聖杯の祝福)。完全に馬鹿にしていますね

挿絵と文字が重なっているなど、不自然な箇所がありますが、これは余白に押し込める形で、後から挿絵が加えられたためと考えられます。「カルミナ・ブラーナ」の挿絵にはこうしたものが多いのが特徴です。
中世の酒場かー。

酔っ払いは出てくる?

もちろん!

ここに出てくる詩は、はっきり言ってみんな酔っ払いの戯言だよ

「怒りに心収まらず」は、バリトンによって歌われる力強い歌です。

酔っ払いがくだを巻いているわけですが、もちろん本人は大真面目!

(以下、歌詞は抜粋です)

内に燃え上がる

強烈な怒りによって

悲哀の中で

私は私の心に語り掛ける


物質から作られた 元素の灰

私は木の葉に似ている

元素の灰って何だそりゃ、おっさんよ?
昔は「暗黒時代」などと呼ばれた中世だけど、科学上の多くの発見がなされた時代でもあるからね。


この詩は12世紀ケルンの大詩人アルキポエタの作とも言われています。アルキポエタは遍歴学生(別の回で解説!)の間で信奉されていました。

自暴自棄な詩だけど、きちんと韻を踏んだ、格調高い文体となっています。傑作と呼ばれる詩です

お酒をちょろまかす修道士。

これがアルキポエタとも言われています。

私は運ばれていく

船乗りのいない船のように


さまよう鳥が運ばれるように

鎖も私をつなぎ得ず

物悲しい歌詞は、だんだん怒りに満ちていきます。
私は自分に似た奴らを探し求め

邪悪な連中の仲間になるんだ


真面目さなんて厄介なだけ

ふざけるのは楽しく 蜂の巣より甘いじゃないか

ヴィーナス様が命じること(女遊び)を

せっせとやるのは楽しいんだ

ヴィーナス様は決して

尽くさない男の心には居てくれない

若者のように 広い道を闊歩してやるんだ!

悪徳だらけの人生、美徳など忘れてしまおう

快楽を求め、魂の救済は求めない

オレは女の肌にしか興味がないんだ!

「怒りに心収まらず」は、30.05~。

激しい感情の嵐を表現すべく、勢いのある音楽になっています。

怒り狂ってるな
やけ酒だあ~。

この人、真面目に頑張っていたのに報われなかったんだね、きっと。

何だか、気持ちは分かるなあ~

この人、お酒でうっぷんを晴らせたかな?

それも神のみぞ知る……ですね

もう一つ、おまけの動画です。

熊川哲也さんのバレエ公演のダイジェスト。曲の解釈には独自のイメージが加わっていますが、踊りが素晴らしく、見ごたえありますよ!

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