薙刀

文字数 462文字

 二三の長柄草刈刃は長巻の柄に薙刀の刃をつけたような形状だった。長巻の柄は丈夫であったが、町の婦女子が振るうにはまだ重い。そこで道場では薙刀を教えた。薙刀であれば寺にもある。鉄包が広まるにつれ、薙刀は余り、入手しやすいこともあった。また、二三の戦い方自体が薙刀に近かった。足を刈り、柄で止める。まずは、この基本を覚える。ひたすら弓や槍がつかえない屋内での戦いに特化した。
 戦って勝つことが目的ではない。子供を連れていることが多い彼女らにとって一番は、敵から逃げることだった。そのため、道場の薙刀はすべて刃がついてないなかった。敵とはいえ怪我をさせることをためらう女子は多い。手負いの熊の例えもある。刃のついていない薙刀てあれば彼女らも思いっきり振ることができ、手合わせも容易にできた。

「できれば、二人で薙刀を交わらせて敵を壁に抑え込め。」
 その長い柄を使って、刺又のように抑え込むのである。これで、相手は簡単には動けなくなる。
「一対一で戦おうとするな。自分は弱い。弱いから力ではなく協力して敵を倒すことを考えよ。」
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登場人物紹介

猪熊 四五六(しごろく)

組討の使い手

十一の父

二三(ふみ)

剣術の使い手

十一の母

長い細身の背負い刀、長柄草刈刃を使う

十一(じゅういち)

鉄砲使い

オリジナル改造の種子島を二丁持つ

八(やつ)

見世物小屋の芸人

吹き矢芸

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