長柄草刈刃(ながえくさかりば)
文字数 433文字
当時、武家の女は自害のための小刀は持っていたが、長刀を持って戦に出るものはいなかった。たまに、護身のために槍を習うものはいた。しかし、戦で使う重さのある長い本物の槍を振るうには非力だった。
二三の家は刀鍛冶をしていた。刀は、父と弟が打つ。もっとも、刀の依頼は多くないため、主に二三の行う農機具や釜などの修理で生計を立てていた。
木刀を持って武者修行に出るという彼女のために、父は一振りの刀を渡した。
「よいか、女は刀は差せない。これは刀ではない。だから腰に挿すのではなく背負うのだ。あくまで、これは草刈の刃に柄をつけたもの。だから長柄草刈刃という。剣と違って、両手で草を薙掃うようにする。剣が自ら浮き上がる。これなら力が足らずとも容易に扱えよう。」
半身に丸みがあった。鳥の翼のように揚力が働いたのだろう。普通であれば剣の重みで下がる剣先が浮き上がってくる。
父は草薙とつけたかのだろうが、神器の名をつけることは、天皇にそむく行為とうけとられかねなかった。
二三の家は刀鍛冶をしていた。刀は、父と弟が打つ。もっとも、刀の依頼は多くないため、主に二三の行う農機具や釜などの修理で生計を立てていた。
木刀を持って武者修行に出るという彼女のために、父は一振りの刀を渡した。
「よいか、女は刀は差せない。これは刀ではない。だから腰に挿すのではなく背負うのだ。あくまで、これは草刈の刃に柄をつけたもの。だから長柄草刈刃という。剣と違って、両手で草を薙掃うようにする。剣が自ら浮き上がる。これなら力が足らずとも容易に扱えよう。」
半身に丸みがあった。鳥の翼のように揚力が働いたのだろう。普通であれば剣の重みで下がる剣先が浮き上がってくる。
父は草薙とつけたかのだろうが、神器の名をつけることは、天皇にそむく行為とうけとられかねなかった。