出会い
文字数 751文字
戦国の世に、獣と呼ばれた一家がいた。数多の戦を勝利に導きながら。彼らは織田信長の元にやってきた。
素手の格闘技である組討の使い手であった四五六と剣術使いの二三が戦場で出会ったのがきっかけだった。四五六は二三を華奢な男だと思っていた。細く長い刀身を低く振り回す独特の二三の戦いに、四五六はなかなか近づくことが出来ないでいた。組み手の間合いに入れば、四五六が負ける事はない。しかし、二三の刀がそれを許さない。刀と槍と弓しか武器の無い時代。屋外での戦いは相手の足を狙うのが最も効率的だった。細身の刀は、合わせれば折れてしまう。厚手になれば重さから刃先が下がってしまう。骨を絶てば刃がこぼれてくる。刀を合わせず、間合いにいれず、最小限の傷で相手を倒す。これが二三にとって最善の戦法だったのだ。
四五六は手合わせするうちに相手が女だと気付く。
「おなごとは戦えん。」
四五六は構えを解いた。
「馬鹿にするな。戦場に男も女もあるまい。」
二三は怒鳴った。
「いや、馬鹿にしているのではない。おぬしの剣は本物だ。このまま戦えばどちらも無事ではないだろう。」
「臆したか。死の覚悟はできている。」
二三は怒りに任せて、四五六を切りつけた。四五六は体をかわし、間合いを取る。
「勘違いするな。男と女の違いを言っている。女は子を産む。女子を殺せば、将来のその子も殺すことになる。だから、戦えないと言っているのだ。そなたに子供が出来、一人前に育ったならば、再び戦おうぞ。」
四五六は二三を残し、去ろうとした。
「待て。ならば、私はそなたの子を産み育てよう。その子が育ったら、心置きなく相手をしてもらうぞ。」
おそらく、二三を一人の格闘家として認めてくれた四五六なら夫婦としてやっていけると感じたのだろう。
素手の格闘技である組討の使い手であった四五六と剣術使いの二三が戦場で出会ったのがきっかけだった。四五六は二三を華奢な男だと思っていた。細く長い刀身を低く振り回す独特の二三の戦いに、四五六はなかなか近づくことが出来ないでいた。組み手の間合いに入れば、四五六が負ける事はない。しかし、二三の刀がそれを許さない。刀と槍と弓しか武器の無い時代。屋外での戦いは相手の足を狙うのが最も効率的だった。細身の刀は、合わせれば折れてしまう。厚手になれば重さから刃先が下がってしまう。骨を絶てば刃がこぼれてくる。刀を合わせず、間合いにいれず、最小限の傷で相手を倒す。これが二三にとって最善の戦法だったのだ。
四五六は手合わせするうちに相手が女だと気付く。
「おなごとは戦えん。」
四五六は構えを解いた。
「馬鹿にするな。戦場に男も女もあるまい。」
二三は怒鳴った。
「いや、馬鹿にしているのではない。おぬしの剣は本物だ。このまま戦えばどちらも無事ではないだろう。」
「臆したか。死の覚悟はできている。」
二三は怒りに任せて、四五六を切りつけた。四五六は体をかわし、間合いを取る。
「勘違いするな。男と女の違いを言っている。女は子を産む。女子を殺せば、将来のその子も殺すことになる。だから、戦えないと言っているのだ。そなたに子供が出来、一人前に育ったならば、再び戦おうぞ。」
四五六は二三を残し、去ろうとした。
「待て。ならば、私はそなたの子を産み育てよう。その子が育ったら、心置きなく相手をしてもらうぞ。」
おそらく、二三を一人の格闘家として認めてくれた四五六なら夫婦としてやっていけると感じたのだろう。