十一

文字数 519文字

 十一の種子島には大きな特徴が2つあった。ひとつは両目で照準をあわせられるようになっていたことだ。右目を銃身に方向に合わせると、左目側に出っ張りがありいくつもの溝が掘られていた。溝の位置によって相手との距離がわかった。
 次に、玉が逆回転して飛び出してくる。通常はドライブ回転なので下へと沈み込んで行き、距離が出ない。十一は下側への火薬量を多くして、ストレートのような回転を与え、浮き上がるよな伸びのある玉が出てくる。これにより飛距離が出た。最大の利点は従来の鉄砲が上から下方向へ撃つと、回転のせいで失速するのに対し、そのハンディが少ないことである。これは山城で下から攻めてくる敵を撃つことができる。

 鉄包は敵が離れているときに役に立つが玉込めに時間がかっかった。十一は二丁を交互に撃つ。撃ち終わった鉄包は、出番を待つ父か母が玉を込める。一回分の火薬と玉が袋に小分けされており、素人の両親でも簡単に火薬と玉をセットできた。

 敵が近くまで来ると、父と母が応戦する。十一は離れた場所から鉄包で両親の援護をする。3人いればどんな距離からでも相手を倒すことができた。
 その八面六臂の活躍と猪熊姓から、彼らは獣と呼ばれるようになっていた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

猪熊 四五六(しごろく)

組討の使い手

十一の父

二三(ふみ)

剣術の使い手

十一の母

長い細身の背負い刀、長柄草刈刃を使う

十一(じゅういち)

鉄砲使い

オリジナル改造の種子島を二丁持つ

八(やつ)

見世物小屋の芸人

吹き矢芸

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み