第24話:信じられない様な事件

文字数 1,528文字

 ところが離陸から約50分後、地上管制との交信が途絶え、南シナ海上空で左旋回して予定コースを大きく外れて南西に向かった。マレーシア空軍のレーダーは離陸後、約1時間40分まで奇妙な飛行コースを捕捉していたが、そのまま消息を絶った。マレーシア政府が公表した乏しい情報によると、マレーシア機は離陸から7時間30分にわたって飛行していたという。

 しかし、10ヵ国以上が参加して遭難機を捜索したが手がかりは全くつかめなかった。
「ジャンボ機・B747の飛行時間が1万4千時間という世界一の記録を持つS機長が推理を展開した。」
「あくまで個人的な推理の範囲ですがと前置きした話し始めた。」
「そして一番可能性が高いのは、マレーシア機のザハリエ機長自身によるハイジャック」
「ポイントになるのは通信手段と飛行ルートです」

「南シナ海上でマレーシア機が左旋回して南西に転進したのは、クアラルンプールの航空路管制レーダーの電波が届かなくなった所だった」
「その頃に航空交通管制用自動応答装置が切られた」
「通常、航空交通管制用自動応答装置が乗務員しか切ることができない装置だ」
「その後の空軍レーダーが捕捉した飛行コースを見ると各地のレーダー網をかいくぐり飛んだ」
「すると、機長か副操縦士のいずれか、あるいは共謀の可能性が強くなる」

「機長と副操縦士の毎月の乗務割りはコンピュータによって無作為につくられる」
「当日は偶然に同じ便の乗務についたとされているので共謀の可能性は低いと思われる」
「私の経験では副操縦士にマレーシア機に勤務した10人の客室乗務員をコントロールは無理」
「そして、疑われないように7時間半のフライトを実行するのは副操縦士には無理」
「しかし、機長ならそれが可能だ」

「Z機長の遠い親戚にA元副首相がいた。」
「A元副首相は1980年代にMH首相「当時」に重用された。」
「そして、一時はA元副首相の後継者と目された。」
「しかし、政策の違いから1998年にマハティール首相に罷免された」
「その後、A元副首相は汚職と同性愛の罪で6年間服役した」

「刑期を終えたA元副首相は野党指導者として活動した」
「Z機長はA元副首相の熱狂的支持者でした」
「それでは機長は政権と交渉していた?杉江さんがいよいよ核心に迫る」
「マレーシア航空機事件の前日アンワル元副首相は再び同性愛の罪で懲役5年の判決を受けた」

「そして、機長が自らの機をハイジャックする動機が生まれた」
「おそらく機長が飛行コースを変えたとき、副操縦士は異変に気付いた」
「そして、阻止しようとしたでしょうが、何らかの手段で拘束したのでしょう」
「ザハリエ機長は、操縦席から無線か航空無線データ通信でマレーシア政府と交渉」
「そして、アンワル元副首相の解放を求めたのでしょう」

「もし成功すればインドネシアあたりの空港に着陸したのでしょうが、政権が拒否した」
「そのため、インド洋に突入したのでしょう」
「要求は通らなくても、政権に打撃を与えることは確かだ」
「これではナジブ首相もマレーシア航空も情報を出すことはできない」

 2015年の7月、マレーシア機の機体の一部がインド洋の西、アフリカに近いフランス領レユニオンで発見された。しかし、乗員乗客全員とボイスレコーダーや機体の大部分は、いまだに発見されていない。さらに同じ2014年7月17日にマレーシア航空の定期旅客便がウクライナ東部上空を飛行中に撃墜された。

 そして、マレーシア航空機の乗客283人と乗組員15人の全員が死亡する痛ましい事件が起きた。アムステルダムからクアラルンプールへと向かっていたボーイング777-200ERはウクライナ~ロシア間の国境から約50キロ離れたところで消息を絶った。
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