スモールワールド
文字数 832文字
今日は笑可のリハビリとして外に出る訓練だ。
ボクは彼女の化粧道具を借りて女装している。
銀髪ロングのウィッグをかぶり、ヒラヒラした紫のスカートを履いて、駅前まで歩いたところで過呼吸を起こした笑可を心配した通行人の女性が助けてくれる。
この人になら、彼女の状況を話してもいいか。
笑可が性被害に遭ったことを包み隠さず話した。
「カノジョさん、大変かもしれないけど愛してあげてね」
黙って女性は時折辛かったよねと声をかけつつ、彼女の背中をさする。
去り際に上記の台詞を残して、女性は去っていった。
「どこまでいっても、私って全然立ち上がれない」
弱音をこぼす笑可の身体を抱きしめて「オレは君が完全に治るまでそばにいるから」聴いていたサブスクからはランクヘッドのスモールワールドが流れていた。
フジファブリックのsmall worldが流れ始める。
どこまでいっても世界は小さい。
そんな小さな世界で大きな悲劇が起きている。
命が燃える音が笑可からしている。
彼女の髪をなでる時にビクッとされた。
手を引っ込めようか悩んだけどそのまま続けた。
イヤホンからはランクヘッドの体温が流れていた。
ちょうど笑可にその片方のイヤホンを着けてもらったからおだかのシリアスな歌詞が届いてるだろう。
ランクヘッドのボーカルの小高さんのブログで関係を持った女性に性被害の過去があって男として許せないと記事に書かれていた。
そんな時、このバンドを山沢さんから知り本当に良かったと思った。
比較的負担の多いドラムス以外が辞めない理由がわかった気がする。
閃光が流れる。
エモいアップテンポなチューンだ。
ギターに少しだけ挑戦したことはあるけど、コードチェンジ(押さえる手の動き)が激しい歌は弾ける気がしない。
彼女の心にきらりいろを灯したい。
そうしたらもっと長く外に出れるだろうか。
帰り道、「意外と女装似合ってるよ」と言ってくる彼女によくわからない照れを感じた。
小さな手を握りたいと思いつつ、一緒にいてくれるだけで幸せだと思うことにした。
ボクは彼女の化粧道具を借りて女装している。
銀髪ロングのウィッグをかぶり、ヒラヒラした紫のスカートを履いて、駅前まで歩いたところで過呼吸を起こした笑可を心配した通行人の女性が助けてくれる。
この人になら、彼女の状況を話してもいいか。
笑可が性被害に遭ったことを包み隠さず話した。
「カノジョさん、大変かもしれないけど愛してあげてね」
黙って女性は時折辛かったよねと声をかけつつ、彼女の背中をさする。
去り際に上記の台詞を残して、女性は去っていった。
「どこまでいっても、私って全然立ち上がれない」
弱音をこぼす笑可の身体を抱きしめて「オレは君が完全に治るまでそばにいるから」聴いていたサブスクからはランクヘッドのスモールワールドが流れていた。
フジファブリックのsmall worldが流れ始める。
どこまでいっても世界は小さい。
そんな小さな世界で大きな悲劇が起きている。
命が燃える音が笑可からしている。
彼女の髪をなでる時にビクッとされた。
手を引っ込めようか悩んだけどそのまま続けた。
イヤホンからはランクヘッドの体温が流れていた。
ちょうど笑可にその片方のイヤホンを着けてもらったからおだかのシリアスな歌詞が届いてるだろう。
ランクヘッドのボーカルの小高さんのブログで関係を持った女性に性被害の過去があって男として許せないと記事に書かれていた。
そんな時、このバンドを山沢さんから知り本当に良かったと思った。
比較的負担の多いドラムス以外が辞めない理由がわかった気がする。
閃光が流れる。
エモいアップテンポなチューンだ。
ギターに少しだけ挑戦したことはあるけど、コードチェンジ(押さえる手の動き)が激しい歌は弾ける気がしない。
彼女の心にきらりいろを灯したい。
そうしたらもっと長く外に出れるだろうか。
帰り道、「意外と女装似合ってるよ」と言ってくる彼女によくわからない照れを感じた。
小さな手を握りたいと思いつつ、一緒にいてくれるだけで幸せだと思うことにした。