心のユニット
文字数 1,666文字
3枚目のシングルはなかなか決まらなかった。
せっかくバンドを組んでるんだし、ということで色んなメンバーに作詞作曲させることを提案した。
すると笑可は「それじゃ、豹馬も書くんだよね」と
言った。
「ああ」と答えると「私楽しみに待ってる!」と返された。
10曲作ってみて、色々なコード進行を試したりした。
コード進行の載っている本を読み、パートごとに勧められてるそれを試してみる。
BメロはIImかIIImで始めると良いみたいなことが書いてある。
ボクはベースの音と歌を別撮りしてスマホで編集して明日会う笑可に渡そうと思う。
2曲厳選してみるか。
1曲はコード進行に気合を入れて自分の限界までコードを組み込んだ。
もう1曲はシンプルなそれに海でデートしたいとかそんな歌にした。
翌日朝。
学校休んで2人きりで会うのは楽しい。
笑可の家で彼女から各メンバーの作った曲を聞かされる。
山沢さんも彩風さんもメチャクチャやる気を出しているのが音源から伝わってくる。
山沢さんの作る曲は電気グルーヴチックで歌詞はフジファブリックっぽい前向きな感じ、彩風さんは大塚愛さんかYUIさんっぽいガーリーなノリだ。
ボクはというと、コード進行にあまり他者の音楽の影響は無くて好きなように作っただけだから自信はそんなには無い。
2曲試聴して、コード進行を頑張った歌を褒めてくれた。
「歌詞、とても良いしこれをバンドサウンドでやってみたい。これA面として出したい」
「伴奏ベース音しか入ってないのに? いいのか? 」
「豹馬が一生懸命作ってくれたし、サビの盛り上がりが1番ポップに聴こえたかな。何曲作ったの?」
「10曲」
「そんなに!? ありがとう。今度没にした歌も聴かせてよ」
「ああ、今度な」
歌詞が浮かばなすぎて2番は1番の歌詞の繰り返しなのに。
そんなにボクの作った歌はよかったのだろうか?
「いつも自分が歌を作ってて、それは楽しいんだけどルミちゃんが亡くなってからはなんか自分の作る音楽に自信持てなくて」
自分はそんな笑可にBUCK-TICK今井さんのMCを見せたくなったが、自死を選んだ人間には死は当たり前という表現は合わない気がしてやめておいた。
自死よりも病死ならば、まだ仕方なかったと思えるのに。
「2番の歌詞は私書いていい? えへへ、初めて豹馬と共作になるね」
仮歌の歌詞はひとりぼっちの女の子がクラブで女友達を作り仲良く踊るみたいな歌詞だった。
ざわめきディスコティーク
止めないでこのメロディ
鮮やかに踊り出したら
止められねえだろ もう
自分の歌を聴かれるのは慣れ親しんだ女の子の前でも何だか恥ずかしい。
ちなみに2ndシングルの笑可のオリコン5位を越して
オホーツク三姉妹のCDがオリコン2位を記録したので、賭けに負けた山沢さんは42キロマラソンに挑戦することになった。
もちろん、彼が女装姿で走る姿を車の運転できるリョウタさんと協力して撮ることは決まってる。
「でもみんなとバンド組んでよかった。日々をこんなに楽しく過ごせるなんて。
豹馬、ハーモニカ取り出してどうしたの?」
町田康feat佐藤タイジの心のユニットのサビを吹いてみる。
笑可は聴き入って、「町田さんの歌だぁ」と反応した。
「山沢さん、若い頃町田康に憧れすぎて前衛的な詩とか純文学書いてたらしいよ。
講談社のエンタメっぽいなんとかbirthって部門に投稿して、処女作落とされたらしい」
「へえ、そうなんだ」
「町田さんがバイオのパソコン持って写ってるデカイポスター駅で見かけて、そこから面白いってハマったらしい」
「犬を3匹、猫はもはや何匹飼ってるかわからないくらいに飼ってる実績あるのスゴイよね」
町田康のくっすん大黒の面白さから中島らもの酒気帯び車椅子の展開の凄さ、村山由佳のおいしいコーヒーのいれ方シリーズの純愛ぶりや猫をかわいがる作家に悪い人はいない。
また坂東眞砂子が比較的早く亡くなったのは子猫を崖から落として殺したりした罰が当たったなどの話題を炸裂させていった。
それから2人で刀ピークリスマス2023を聴いて、中毒性ある歌に釘付けだった。
せっかくバンドを組んでるんだし、ということで色んなメンバーに作詞作曲させることを提案した。
すると笑可は「それじゃ、豹馬も書くんだよね」と
言った。
「ああ」と答えると「私楽しみに待ってる!」と返された。
10曲作ってみて、色々なコード進行を試したりした。
コード進行の載っている本を読み、パートごとに勧められてるそれを試してみる。
BメロはIImかIIImで始めると良いみたいなことが書いてある。
ボクはベースの音と歌を別撮りしてスマホで編集して明日会う笑可に渡そうと思う。
2曲厳選してみるか。
1曲はコード進行に気合を入れて自分の限界までコードを組み込んだ。
もう1曲はシンプルなそれに海でデートしたいとかそんな歌にした。
翌日朝。
学校休んで2人きりで会うのは楽しい。
笑可の家で彼女から各メンバーの作った曲を聞かされる。
山沢さんも彩風さんもメチャクチャやる気を出しているのが音源から伝わってくる。
山沢さんの作る曲は電気グルーヴチックで歌詞はフジファブリックっぽい前向きな感じ、彩風さんは大塚愛さんかYUIさんっぽいガーリーなノリだ。
ボクはというと、コード進行にあまり他者の音楽の影響は無くて好きなように作っただけだから自信はそんなには無い。
2曲試聴して、コード進行を頑張った歌を褒めてくれた。
「歌詞、とても良いしこれをバンドサウンドでやってみたい。これA面として出したい」
「伴奏ベース音しか入ってないのに? いいのか? 」
「豹馬が一生懸命作ってくれたし、サビの盛り上がりが1番ポップに聴こえたかな。何曲作ったの?」
「10曲」
「そんなに!? ありがとう。今度没にした歌も聴かせてよ」
「ああ、今度な」
歌詞が浮かばなすぎて2番は1番の歌詞の繰り返しなのに。
そんなにボクの作った歌はよかったのだろうか?
「いつも自分が歌を作ってて、それは楽しいんだけどルミちゃんが亡くなってからはなんか自分の作る音楽に自信持てなくて」
自分はそんな笑可にBUCK-TICK今井さんのMCを見せたくなったが、自死を選んだ人間には死は当たり前という表現は合わない気がしてやめておいた。
自死よりも病死ならば、まだ仕方なかったと思えるのに。
「2番の歌詞は私書いていい? えへへ、初めて豹馬と共作になるね」
仮歌の歌詞はひとりぼっちの女の子がクラブで女友達を作り仲良く踊るみたいな歌詞だった。
ざわめきディスコティーク
止めないでこのメロディ
鮮やかに踊り出したら
止められねえだろ もう
自分の歌を聴かれるのは慣れ親しんだ女の子の前でも何だか恥ずかしい。
ちなみに2ndシングルの笑可のオリコン5位を越して
オホーツク三姉妹のCDがオリコン2位を記録したので、賭けに負けた山沢さんは42キロマラソンに挑戦することになった。
もちろん、彼が女装姿で走る姿を車の運転できるリョウタさんと協力して撮ることは決まってる。
「でもみんなとバンド組んでよかった。日々をこんなに楽しく過ごせるなんて。
豹馬、ハーモニカ取り出してどうしたの?」
町田康feat佐藤タイジの心のユニットのサビを吹いてみる。
笑可は聴き入って、「町田さんの歌だぁ」と反応した。
「山沢さん、若い頃町田康に憧れすぎて前衛的な詩とか純文学書いてたらしいよ。
講談社のエンタメっぽいなんとかbirthって部門に投稿して、処女作落とされたらしい」
「へえ、そうなんだ」
「町田さんがバイオのパソコン持って写ってるデカイポスター駅で見かけて、そこから面白いってハマったらしい」
「犬を3匹、猫はもはや何匹飼ってるかわからないくらいに飼ってる実績あるのスゴイよね」
町田康のくっすん大黒の面白さから中島らもの酒気帯び車椅子の展開の凄さ、村山由佳のおいしいコーヒーのいれ方シリーズの純愛ぶりや猫をかわいがる作家に悪い人はいない。
また坂東眞砂子が比較的早く亡くなったのは子猫を崖から落として殺したりした罰が当たったなどの話題を炸裂させていった。
それから2人で刀ピークリスマス2023を聴いて、中毒性ある歌に釘付けだった。