アイデア
文字数 1,558文字
つづく日々の道の先を塞ぐ影にアイデアを
星野源が好きだったりした笑可に捧げるべく、玖蘭さんがステージの上で弾き語りで『アイデア』『ドラえもん』を披露する。
ライブツアー『スマイルアンドファビュラス』のラスト公演。
脇でサビの部分だけ歌ったりするボク。
スマホに映した笑可の画面をカメラマンによって、
拡大して映してもらう。
表向きの理由としては体調が優れず、入院しているということにしている。
レコード会社のマネージャーが笑可のイメージ低下を気にして、マスコミにそう説明したのだ。
「みんな、見てるの? 玖蘭さんが星野源さん歌ってくれてうれしいです。同じレコード会社の大先輩なので気になってます。
ドラえもんの歌詞好きなんですよね。
みなさん、こんな形で姿を見せることになり申し訳ないです。
ツアー、玖蘭さんとバンドメンバーのみんながいたかったらできてなかったと思います。
私も拍手するので、みなさんもどうか」
オーディエンスが拍手をする。
「次のツアーは絶対復帰するので、お願いします。オホーツク三姉妹の出番をなくしたい」
笑可の宣言が響き渡る。
「ふふ、今から2曲やるからオホ三の準備しなよ。会場にあなたの漫画家志望友達いるの知ってるし。ってか最前列にいるからわかる。
ウイッグ最速で整えれるスタイリスト呼んであるから」
沙璃奈と玖蘭が『想いでロストナイト』を演奏する。
その隙に楽屋へ行き、話を聞いていたヘアスタイリストにウイッグをセットされあっという間にオホーツク三姉妹が出来上がる。
遅れてやってきたエミ(リョウタ)もしっかり女の子になっていく。
じゃあ、行くか。
そう、呼びかけるとダッシュする山沢さんを追いかけてくボクら。
ステージに戻り、「お待たせ」と女子2人に声をかける。
「すごーい。走ってきてた割に髪乱れてないね」
と、沙璃奈が笑う。
「オホーツク三姉妹デース!マリだよ。玖蘭さんに頼まれて登場したけどなんだろーう」
「ジュリだよ。さっきまでパソコンいじったり、ミキサーいじったり忙しかったな」
「エミです。今日は帰ったらこの日のことをライブレポエッセイ漫画にするの。歌は下手だけど見逃してちょ」
「じゃあ私が即興で歌いやすいコード進行で弾くから、2番から歌って」
私たち オホーツクの海を
飛び越えて やってきたのよ
玄界灘 限界に超えちゃって
アイラブユー 笑可たそたそ
そう玖蘭さんが凛とした声で歌うからカオスだ。
「はい、2番そろそろ弾くよ。病床の笑可に届くように歌いな」
「わかったよ」
トゥルトゥッルル 笑可の
歯ブラシになりたい (豹馬)
鮮やかに 咲いているよな
花を今 笑可と彩風に(山沢)
眠れない夜は僕のそばにいて(エミ)
玖蘭さんはボクらに2番のAメロとBメロを歌わせると
サビをだから戻ってきてよ、笑可ちゃんといった内容の歌詞でキャッチーに歌った。
その歌を最後に決め、アンコールでアシアトを披露して観客にサヨナラして楽屋に戻る。
ウィッグを外して、スマホを見ると笑可が泣いていた。
「どうした!?」
「即興でみんなが私に一生懸命歌ってくれてて感動したら……涙が止まらなくて」
「みんな笑可のこと想ってるんだよ。笑可の力になるつもりが君から力をもらっていたみたいなものだから」
「うん、ありがとう……玖蘭さんにツアー完走ありがとうございましたって伝えておいて 。本当は私自身で伝えたいけど、もう消灯だから」
「そっか、温かい気分のまま寝ろよ」
「うん、安心して眠れそう」
あとはバンドメンバー同士でゆっくり打ち上げるといい。
そう言い残して玖蘭さんはタクシーで事務所へ行ってしまった。
居酒屋でお疲れ様会をしたボクら。
けれど、1番重要な人物がいないもどかしさでイマイチ盛り上がりきれなかった。
電車内で立ったまま寝そうになる山沢さんを沙璃奈と2人で支えるのが大変だった。
星野源が好きだったりした笑可に捧げるべく、玖蘭さんがステージの上で弾き語りで『アイデア』『ドラえもん』を披露する。
ライブツアー『スマイルアンドファビュラス』のラスト公演。
脇でサビの部分だけ歌ったりするボク。
スマホに映した笑可の画面をカメラマンによって、
拡大して映してもらう。
表向きの理由としては体調が優れず、入院しているということにしている。
レコード会社のマネージャーが笑可のイメージ低下を気にして、マスコミにそう説明したのだ。
「みんな、見てるの? 玖蘭さんが星野源さん歌ってくれてうれしいです。同じレコード会社の大先輩なので気になってます。
ドラえもんの歌詞好きなんですよね。
みなさん、こんな形で姿を見せることになり申し訳ないです。
ツアー、玖蘭さんとバンドメンバーのみんながいたかったらできてなかったと思います。
私も拍手するので、みなさんもどうか」
オーディエンスが拍手をする。
「次のツアーは絶対復帰するので、お願いします。オホーツク三姉妹の出番をなくしたい」
笑可の宣言が響き渡る。
「ふふ、今から2曲やるからオホ三の準備しなよ。会場にあなたの漫画家志望友達いるの知ってるし。ってか最前列にいるからわかる。
ウイッグ最速で整えれるスタイリスト呼んであるから」
沙璃奈と玖蘭が『想いでロストナイト』を演奏する。
その隙に楽屋へ行き、話を聞いていたヘアスタイリストにウイッグをセットされあっという間にオホーツク三姉妹が出来上がる。
遅れてやってきたエミ(リョウタ)もしっかり女の子になっていく。
じゃあ、行くか。
そう、呼びかけるとダッシュする山沢さんを追いかけてくボクら。
ステージに戻り、「お待たせ」と女子2人に声をかける。
「すごーい。走ってきてた割に髪乱れてないね」
と、沙璃奈が笑う。
「オホーツク三姉妹デース!マリだよ。玖蘭さんに頼まれて登場したけどなんだろーう」
「ジュリだよ。さっきまでパソコンいじったり、ミキサーいじったり忙しかったな」
「エミです。今日は帰ったらこの日のことをライブレポエッセイ漫画にするの。歌は下手だけど見逃してちょ」
「じゃあ私が即興で歌いやすいコード進行で弾くから、2番から歌って」
私たち オホーツクの海を
飛び越えて やってきたのよ
玄界灘 限界に超えちゃって
アイラブユー 笑可たそたそ
そう玖蘭さんが凛とした声で歌うからカオスだ。
「はい、2番そろそろ弾くよ。病床の笑可に届くように歌いな」
「わかったよ」
トゥルトゥッルル 笑可の
歯ブラシになりたい (豹馬)
鮮やかに 咲いているよな
花を今 笑可と彩風に(山沢)
眠れない夜は僕のそばにいて(エミ)
玖蘭さんはボクらに2番のAメロとBメロを歌わせると
サビをだから戻ってきてよ、笑可ちゃんといった内容の歌詞でキャッチーに歌った。
その歌を最後に決め、アンコールでアシアトを披露して観客にサヨナラして楽屋に戻る。
ウィッグを外して、スマホを見ると笑可が泣いていた。
「どうした!?」
「即興でみんなが私に一生懸命歌ってくれてて感動したら……涙が止まらなくて」
「みんな笑可のこと想ってるんだよ。笑可の力になるつもりが君から力をもらっていたみたいなものだから」
「うん、ありがとう……玖蘭さんにツアー完走ありがとうございましたって伝えておいて 。本当は私自身で伝えたいけど、もう消灯だから」
「そっか、温かい気分のまま寝ろよ」
「うん、安心して眠れそう」
あとはバンドメンバー同士でゆっくり打ち上げるといい。
そう言い残して玖蘭さんはタクシーで事務所へ行ってしまった。
居酒屋でお疲れ様会をしたボクら。
けれど、1番重要な人物がいないもどかしさでイマイチ盛り上がりきれなかった。
電車内で立ったまま寝そうになる山沢さんを沙璃奈と2人で支えるのが大変だった。