オンナノイキザマ
文字数 1,149文字
音楽番組に出ることに。
季節は10月上旬。
ボクが予定より早くやりたいとテレビ局関係者に事情を話すと、了承してもらえたのだった。
大勢のスタッフとやりとりしながら、番組の中盤に出ることを決めた。
あと五分で番組の収録だ。
カメラの前で夢中で歌を歌う。
司会者とのやりとりなんてのは緊張しすぎで全く覚えていない。
ただ1つ、笑可ちゃん早く戻ってきてねと言葉を発したことくらいは覚えている。
山沢さんがDJ的な役割で、前にリョウタさんと2人で立って玖蘭さんからの歌を披露した。
コーラス隊には流石に玖蘭さんはいない。
笑可にはあえてフルを聴かせていないけど、この収録を撮影した動画をビクターのスタッフに撮ってもらっているから、それを送ろうか。
収録を終え、ウイッグや衣装を外し自由になる。
でも、女装するのも悪くないかも。
リョウタさんに可愛さで負けるのが悔しい。
『動画見てるけど、玖蘭さんの作った歌だけあってとてもクオリティ高い。
コレリリースされたら私のCD順位越されそう』
そんなLINEが来ていた。
『まあ、オレとしては笑可の記録越さないことを願ってるよ』と返信すると、私は別にCDの記録気にしないよと返ってきた。
『玖蘭さんの全力が感じられるコード進行してるなって思う。
私に提供した曲よりどこかポップに聴こえる』
笑可はそんな感想すらもこぼした。
『あと1週間ちょいで退院か。ようやく笑可とずっと会えるな』
『お待たせしたね。私、今度こそ消えないから』
『ルミちゃんに報いたいなら、彼女への歌を本気で書くことを忘れさえしなければいいと思う』
『……そうだね』
笑可とのLINEをしていると、時間がすぐに過ぎていく。
楽屋には彩風さんもいて、お疲れ様と声をかけてくれた。
パートナーの山沢さんへ駆け寄ると、マサくんかわいいよと声をかける。それに少し恥ずかしそうな山沢さん。
ボクはさっさと元の姿に戻ったけど、女装を面白がる彩風さんに遠慮してか山沢さんはあえて家までそのままでいるつもりらしかった。
「これが最初で最後のテレビ出演になるのかな。先月マンガ落とされたばかりだし、まだまだ当分先だろうな」
そうリョウタさんは複雑そうな言葉を吐いた。
「3人とも集まって。記念写真撮るよ。豹馬くん、女装解くの早すぎ」
そう言いながら呼びかける彩風さんに促され、オホーツク三姉妹で集まる。
この日のために練習した指ハートでポーズを撮って写真に収まった。
「笑可ちゃんの退院日、一緒にいれるんでしょうね?」
そう彩風さんがボクに訊いてくる。
もちろん、高校を休んで行くつもりだと答えた。
「彼女のおかげで本格的に音楽やる喜び見いだせたし、笑可を大切にね」
そう彩風さんは言った。
ボクはその言葉を胸に、時間が20:20なのを確認して彼女の消灯前にLINE通話をかけることにした。
季節は10月上旬。
ボクが予定より早くやりたいとテレビ局関係者に事情を話すと、了承してもらえたのだった。
大勢のスタッフとやりとりしながら、番組の中盤に出ることを決めた。
あと五分で番組の収録だ。
カメラの前で夢中で歌を歌う。
司会者とのやりとりなんてのは緊張しすぎで全く覚えていない。
ただ1つ、笑可ちゃん早く戻ってきてねと言葉を発したことくらいは覚えている。
山沢さんがDJ的な役割で、前にリョウタさんと2人で立って玖蘭さんからの歌を披露した。
コーラス隊には流石に玖蘭さんはいない。
笑可にはあえてフルを聴かせていないけど、この収録を撮影した動画をビクターのスタッフに撮ってもらっているから、それを送ろうか。
収録を終え、ウイッグや衣装を外し自由になる。
でも、女装するのも悪くないかも。
リョウタさんに可愛さで負けるのが悔しい。
『動画見てるけど、玖蘭さんの作った歌だけあってとてもクオリティ高い。
コレリリースされたら私のCD順位越されそう』
そんなLINEが来ていた。
『まあ、オレとしては笑可の記録越さないことを願ってるよ』と返信すると、私は別にCDの記録気にしないよと返ってきた。
『玖蘭さんの全力が感じられるコード進行してるなって思う。
私に提供した曲よりどこかポップに聴こえる』
笑可はそんな感想すらもこぼした。
『あと1週間ちょいで退院か。ようやく笑可とずっと会えるな』
『お待たせしたね。私、今度こそ消えないから』
『ルミちゃんに報いたいなら、彼女への歌を本気で書くことを忘れさえしなければいいと思う』
『……そうだね』
笑可とのLINEをしていると、時間がすぐに過ぎていく。
楽屋には彩風さんもいて、お疲れ様と声をかけてくれた。
パートナーの山沢さんへ駆け寄ると、マサくんかわいいよと声をかける。それに少し恥ずかしそうな山沢さん。
ボクはさっさと元の姿に戻ったけど、女装を面白がる彩風さんに遠慮してか山沢さんはあえて家までそのままでいるつもりらしかった。
「これが最初で最後のテレビ出演になるのかな。先月マンガ落とされたばかりだし、まだまだ当分先だろうな」
そうリョウタさんは複雑そうな言葉を吐いた。
「3人とも集まって。記念写真撮るよ。豹馬くん、女装解くの早すぎ」
そう言いながら呼びかける彩風さんに促され、オホーツク三姉妹で集まる。
この日のために練習した指ハートでポーズを撮って写真に収まった。
「笑可ちゃんの退院日、一緒にいれるんでしょうね?」
そう彩風さんがボクに訊いてくる。
もちろん、高校を休んで行くつもりだと答えた。
「彼女のおかげで本格的に音楽やる喜び見いだせたし、笑可を大切にね」
そう彩風さんは言った。
ボクはその言葉を胸に、時間が20:20なのを確認して彼女の消灯前にLINE通話をかけることにした。