あとがき

文字数 2,423文字



 このシリーズにはふだん、あとがき書かないんですが、ちょっと第五話が特殊だったので、その解説的な意味で今回は書いてみます。

 まずは、長らくお待たせして、ごめんなさいですね。ゆりかごをカクヨムに持ってきたときに、こっちではゆりかごの続編的な短編も続けて公開しますと言ったきり、たぶん一年くらい放置してました……。

 ごらんのとおり、この話はゆりかご本編で書ききれなかった登場人物たちの恋愛感情のもつれを後日談として書いてます。なので、独立した作品としてではなく、どうしても、ゆりかごのなかの一話として収めたかったんですよね。

 さて、ワレスさんの話はBLとタグつけてはいますが、それは要素的なものであって、各回のメインストーリーは魔物がらみのミステリーになってます。なので、ストーリー全体に対して占める恋愛比率はせいぜい10〜20%ていど。20%もないですね。キャラの心情の基盤になってるので、行動原則としての重要性はあるものの、ストーリーにはあんまり関係なかったりする。ので、恋愛要素は7、8%くらいのときも。

 でも、今回のミダスは、ストーリー全体に対して70%くらいが恋愛関連なんですよね。ミステリーのほうがつけたしw なので、いつもよりBL色が強くなってますね……カクヨムがR15のサイトなので、ぽちぽち打ちこみながら、うーん、この表現はマズイかな、やめとこうと抑えたとこが何ヶ所かありました。

 なんで、この話だけ特殊かと言うと、じつはワレスさんの砦時代のシリーズは最初に長短編ひっくるめて8話書いたあと、ものすごく大きく改稿してるんです。ワレスさんの生涯としてはそっちのほうが先なんだけど、ジゴロ探偵シリーズのほうをあとから書きだしたので、そっちとつじつまあわせるためですね。どうしても、ジェイムズの存在をねじこまないといけなくなったのでw

 初期段階ではジェイムズは存在してませんでした。砦時代の話のなかで話題にのぼったこともなかったんです。それを入れるためにアレコレいじってるうちに、キャラクターたちの心情がなんか、つながらなくなってきてしまったので、ゆりかごと次の話のあいだにはその空白を埋めるために新しく一話、それぞれの(とくにワレスさんとハシェドの)心情を詳しく説明する回を書きくわえる必要性が出てきたんですね。そのためだけに書いたので、恋愛色が濃厚になってます。
 まあ、おかげで、ワレスさんがたらしこむときの手口が明るみにw
 なかなかのヒドイやつw

 この回に出てきた謎の少年が気に入って、別シリーズとして二話ほど書いたんですが、リア友に酷評でした。
 あの少年がモードリンという百合の花の精なんですが、じつは、『ローズガーデン』で設定を踏襲していて、なかに出てくる青い薔薇の伝説は、モードリンたちの種族の始祖の話です。いろいろ、つながってます。

 ちなみにモードリンはやっぱりワレスさんのことを忘れられなくて、死後、その骨を拝借して練りこんだビスクドールに人間の魂を閉じこめて、動く魔法の人形を作るんですが、なぜ不評だったかと言うと、このモードリンの性格が自分勝手すぎて好きになれないんだそうです。いくらさみしいからって人間の魂を勝手に人形にするなと。いやいや、何千年も一人なんだよ? と説得したけど憤慨されただけでしたねw

 そうかぁ。僕は人間でないものを書くときは、とくに注意して人間的な思考法にならないように描いてるんですけどね。どうもそれが感情移入できない原因らしいですねぇ。
 モードリン以外にも、エンデュミオンとグローリアも酷評だった。モードリンと同じ理由で。

 エンデュミオンは『出門さま』とか『ドリーミング』とか『鈴音』とかに、チョロチョロと出てますが、グローリアはまったくネットに出してません。ワレスさんの前世に関係するキャラクターで、なんで彼が呪われてるのかってとこで、すごく重要な役割を持ってるんですが。

 最近は明るめの話も書きますが、けっこう昔は重暗い話を好んでたので、今で言う鬱展開ってやつのなかでも、ベストワンくらいに暗い話なのが、グローリアの出てくる『半神たちの恋唄』です。あまりにも暗いので、出すとしたら、R18オッケーのサイトじゃないとダメだろうなと。

 ところで、ミダスの次のワレスさんの話。
 次はロンドが主役です。ワレスさんがちょこっとずつしか出てこないw おもに事件解決の部分で。
 それ以外はひたすらロンドの話ですが、これがまた、めちゃくちゃ暗いんですよ……。
 さっきの『半神』と一、二位を争う暗さ。
 でも、シリウスシリーズのなかでは、シリーズ全体の後半のメインストーリーに関連してくる重要な話だったりするし。
 これを読みたい人がいるんだろうか……。
 あっ、ララバイが好きな人なら大丈夫。きっと。ララバイもけっこうツライ話ですよね。

 とりあえず、カクヨムでは期間限定で完結を更新したあと数日間だけ公開して、あとはノベルデイズのみで公開続けようかなとも思ったりしてます。

 墜落のシリウスシリーズの残りは現在、書きあげて清書までしてるのが、長編三話、短編一話。『セイレーン姫の恋』『ゆがんだ恋人』『夢の縫いあと』あっ、短編のタイトルが思い出せないw
 それ以外に長編四冊ぶんまで書いてエタってる大長編『エデン』と、その気になれば完結までは書ける長編『変な兵士が多すぎる』が一話(ただし清書はしてない)あります。変な兵士が……は、エミールの話ですね。
 あっ、ゆがんだ恋人はクルウの話で、夢の縫いあとはルーシサスに関連する話です。

 ではまた、どこかでこのシリーズの続きを……。


 ※追記
 ノベルデイズ版には表情や挿絵をつけてます。『ミダスのくちづけ』につけてる挿絵は前述のモードリンとドールの話の表紙用に描いたものですね。
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登場人物紹介

ワレス


このシリーズの主役。

愛する人が必ず死んでしまうという運命を背負った薄幸の美青年。金髪碧眼。

霊など普通の人には見えないものが見える。

魔物の巣食う森に面した砦で傭兵の小隊長をしている。

ハシェド


ワレスの部下。分隊長。

褐色の肌に巻き毛の黒髪。はしばみ色の瞳。

おせっかいでお人よしに見えるが、敵国同士の出身の親のあいだに生まれたことで苦労してきた。

エミール


もとワレスの部下。今は食堂の給仕係。

赤毛で左右の瞳の色の違うオッドアイ。

ワレスを好きだが、ワレスが好きなのは別の人なので本人的に面白くない。

クルウ


一見おだやかで優秀。だが、じつは騎士の出身で、なかなか本心を明かさない。

黒髪黒い瞳。端正な顔立ち。

ギデオン


ワレスの上官。金髪碧眼が好みで生粋のゲイ。

国境付近の街の出身。

なんとかワレスをものにしようと何かとからんでくるが、ほんとに愛していた人は死んだというウワサがある。

メイヒル


ギデオンの右腕で第一小隊の小隊長。

金髪碧眼。

ギデオンの言いなり。

ワレスのことをライバル視していたが……。

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